アダマ・バロウ

アダマ・バロウ：ガンビアの民主的リーダー

アダマ・バロウ（Adama Barrow、1965年2月16日 - ）は、ガンビアの政治家であり、現在、同国の大統領（第3代）を務めています。また、不動産開発業者としての顔も持っています。

ガンビアにとって、1965年のイギリスからの独立後、民主的に大統領に就任した初の人物です。初代のダウダ・ジャワラは共和制移行に伴い首相から大統領に転身し、2代目のヤヒヤ・ジャメはクーデターによって政権を掌握しました（ただし、二人とも選挙による再選は経験しています）。

生い立ちと初期のキャリア

1965年2月16日、当時の英領ガンビアのガンビア川上流地方の首府であるバセ・サンタ・スの近く、マンカマン・クンダ村で生まれました。その2日後の2月18日に、ガンビアはイギリスから独立を果たしました。

地元のコバ・クンダ小学校で学んだ後、首都バンジュールのクラブ島中学校とムスリム高校に進学。その後、エネルギー企業のAlhagie Musa & Sonsに就職し、販売管理人としてキャリアをスタートさせました。

2000年代初頭にはロンドンに移住し、不動産について学びながら警備員として生計を立てました。2006年にガンビアに帰国すると、Majum不動産を開業し、2016年までCEOを務めました。

2016年大統領選挙

2016年10月30日、野党7党の統一候補として大統領選挙に出馬することが決定し、統一民主党（UDP）に所属しました。しかし、同年11月3日には統一民主党を離党し、同盟2016の支援を受けて無所属として選挙戦に臨みました。

バロウは選挙で以下の公約を掲げました。

ガンビアをイギリス連邦に復帰させること
国際刑事裁判所（ICC）に加盟すること
国防軍を政治から独立させること
野党の政治家による暫定政権を樹立し、自身は3年以内に退任すること

2016年12月1日の投票の結果、以下のようになりました。

アダマ・バロウ：43.34%
ヤヒヤ・ジャメ（現職）：39.6%
* ママ・カンデー：17.1%

当初、ジャメは選挙結果を受け入れ、平和的な政権移行を約束していましたが、12月10日には一転して選挙結果を拒否すると宣言。この宣言は国際社会から強い非難を浴び、国連安保理、アフリカ連合、アメリカ合衆国、隣国セネガル、西アフリカ諸国経済共同体（ECOWAS）などがジャメを非難しました。バロウ自身も身の安全のためセネガルに避難せざるを得ない状況となりました。

ジャメは最高裁判所に選挙結果の判断を求めましたが、最高裁判所長官は判断には少なくとも4ヶ月かかると述べ、さらにジャメは大統領就任式を防ぐために非常事態宣言を発令しました。

2017年1月19日、バロウはセネガルの首都ダカールのガンビア大使館で就任式を行い、第3代大統領に就任。同日、ECOWASはセネガル、ナイジェリア、ガーナなどの軍隊をガンビアに派遣し、軍事介入を開始しました。ガンビア軍は抵抗せず、ジャメの出身地であるカニライで小規模な衝突が発生したのみで、ECOWASはジャメに出国を促しました。

1月21日、ジャメはガンビアを出国し、1月26日にはバロウがガンビアに帰国。首都バンジュール国際空港では、何百人もの国民がバロウを歓迎しました。国の安定化のため、約2500人のECOWAS軍が駐留し、バロウは彼らに6ヶ月間の駐留を要請しました。

大統領として

2017年1月28日、バロウは大統領として、国名をジャメが2015年に変更した「ガンビア・イスラム共和国」から「ガンビア共和国」に戻すと宣言し、報道の自由を尊重する姿勢を示しました。また、ジャメとの関係が深い国家情報機関の改名と改革を約束しました。

2月1日には、18人の大臣のうち10人がバロウの仮住居であるカイラバ海岸ホテルで宣誓を行いました。その中には、外務大臣のウサイヌ・ダルボエや財務大臣のアマドゥ・サネー、ガンビア初の女性大統領候補となった貿易・地域統合・雇用大臣のイサトゥ・トゥレーなどが含まれていました。

2月14日、バロウはガンビアのイギリス連邦への復帰手続きを開始し、2019年3月15日には内閣改造を実施し、イサトゥ・トゥレー貿易・地域統合・雇用大臣を副大統領に任命しました。

再選を目指し、2019年12月には新党である国家人民党（NPP）を結成（2021年1月に正式発足）。2021年12月4日の大統領選挙では、1回目の投票で53.2％の票を獲得し、再選を果たしました。落選した統一民主党党首のウサイヌ・ダルボエ候補は選挙不正を訴えましたが、最高裁判所に却下され、2022年1月19日より2期目が始まりました。同年4月9日に行われた国民議会選挙では、国家人民党は選挙で選ばれる53議席中18議席を獲得し、第1党となりました。

民族的背景

バロウは、ガンビア最大の民族であるマンディンカ人の父親と、2番目に大きいフラニ人の母親の間に生まれました。彼は父親の民族に従ってマンディンカ人として記録されていますが、育った村や地域はフラニ人が中心であり、自身もフラニ語を話して育ち、2人の妻もフラニ人です。バロウは、「重要なのは民族ではなく、ガンビア国民として団結することだ」と述べています。

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