フラニ語

フラニ語：西アフリカに広がる多様な言語

フラニ語は、西アフリカのセネガルからスーダンにかけて広がる地域で話されている言語です。フラニ人と呼ばれる民族の主要言語であり、セネガル川流域のトゥクロール族など他の民族も使用しています。地域や方言によって「フルフルディ語」「プラー語」など様々な呼び名があり、英語やフランス語などでも異なる名称で呼ばれています。

分類と特徴

言語学的には、ニジェール・コンゴ語族大西洋・コンゴ諸語の大西洋語群セネガンビア諸語に属します。フラニ語の文法は、名詞と動詞の語根から様々な品詞を派生させる特徴があります。挿入辞を用いて意味を修飾する語彙や、約26種類の名詞クラス（方言によって数は変動）も存在します。単数形と複数形の間で起こる語頭音変化も特徴の一つです。さらに、包括的および排他的な一人称複数代名詞を持つことも特筆すべき点です。

フラニ語は複雑な言語と言われることもありますが、不規則変化は少ないため、全体としては非常に規則的な構造を持っています。

多様な方言

フラニ語には多数の方言が存在します。これらの方言はすべてまとめて単一言語として扱われることが多いですが、方言間の差異は大きく、聖書翻訳の際には少なくとも7種類の翻訳が必要だと考えられているほどです。いくつかの言語分類では、これらの方言を別々の言語として分類しています。主な方言としては、Fulfulde（中部から東部）、Pular（西部）が挙げられます。Fulfuldeはさらにニジェール西部、ニジェール中東部、ナイジェリア、アダメワなど、地域によって細分化されます。Pularはギニアの地域公用語として広く使われています。

話者数と分布

フラニ語話者数は膨大で、地域によってその数は異なります。ナイジェリア、カメルーン、チャド、スーダン、マリ、ギニア、セネガル、シェラレオネ、ベニン、トーゴ、ガーナなどに話者が多いことが知られています。各方言の話者数については、調査年や調査方法によってばらつきがあります。例えば、2000年のナイジェリアでのFulfulde話者数は約170万人と推定されていますが、他の地域や方言については、1982年～2002年までのデータが混在し、正確な話者数を把握するのは困難です。

文字体系

フラニ語には、主にラテン文字とアラビア文字の2種類の文字体系があります。ラテン文字を使う際には、フラニ語特有の発音を表現するため、ɓ、ɗ、ŋ、ɲ、ƴなどの追加文字が用いられます。アラビア文字は、植民地化以前から使用され、現在でも一部地域で使用が続いています。

言語接触と借用語

Pular語は、ギニアでは地域公用語として使用されており、アラビア語、フランス語からの借用語が多いことが特徴です。その他、英語、ポルトガル語、マンディンゴ語、スス語、ウォロフ語などの影響も受けています。

まとめ

フラニ語は、西アフリカにおいて多様な方言を持つ広域言語です。その複雑な文法構造と豊富な方言、そして歴史的な背景から、言語学的な研究対象として非常に興味深い言語です。今後、さらに詳細な調査が進められることで、フラニ語の多様性と奥深さがより明らかにされることが期待されます。

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