アダム・ランバート

アダム・ランバート：ミュージカルから世界的スターへ

アダム・ミッチェル・ランバートは、1982年1月29日、インディアナ州インディアナポリスで生まれ、カリフォルニア州サンディエゴ近郊で育ったアメリカ合衆国の歌手、俳優です。幼少期から類まれな才能を発揮し、10歳から舞台に立ち始めました。サンディエゴでの『チャーリーブラウン』出演を皮切りに、『ハロー・ドーリー！』、『キャメロット』など数々のミュージカルで経験を積みました。

高校卒業後、大学に進学しましたがすぐに中退。その後は、クルーズ客船でのシンガーとしてキャリアをスタートさせ、21歳でミュージカル『ヘアー』のツアーに参加し、ヨーロッパを巡演。その後も『ブリガドーン』、『110 in the Shade』、『The Ten Commandments: The Musical』といった作品に出演し、活動の幅を広げていきました。

2005年から2008年にかけては、人気ミュージカル『ウィキッド』に出演する傍ら、ロックバンドThe Citizen Vainのフロントマンとしても活躍。この多様な経験が、彼独自の音楽性とパフォーマンススタイルを確立する礎となりました。

転機となったのは、2009年の『アメリカン・アイドル』シーズン8への出演です。彼は準優勝に終わりましたが、番組史上最高の賞賛と注目を集め、瞬く間にスターダムにのし上がりました。サンフランシスコで行われたオーディションでは、「ロック・ウィズ・ユー」、「ボヘミアン・ラプソディ」をパワフルに歌い上げ、審査員たちを圧倒。特にマイケル・ジャクソンウィークでの「Black or White」のパフォーマンスは、審査員ポーラ・アブドゥルから決勝進出を予言されるほどでした。決勝ではキッスとの共演を果たし、番組を盛り上げました。

決勝結果発表前には、クイーンのブライアン・メイとロジャー・テイラーと共に、クリス・アレンと「伝説のチャンピオン」を披露。このパフォーマンスが、彼とクイーンとの運命的な出会いを予感させました。そして、番組終了後、クイーンから新しいボーカリストとして加入の誘いを受けます。ランバート本人は、この申し出に驚きながらも、自身のソロ活動と両立させる可能性を探りました。

『アメリカン・アイドル』出演中に同性愛者であるとの噂が広まりましたが、番組終了後にランバート本人がローリングストーン誌で同性愛者であることをカミングアウト。この告白は、多くの人々に勇気を与えました。

2009年11月22日、アメリカン・ミュージック・アワードに出演した際には、過激なパフォーマンスで物議を醸しました。しかし、ランバートはローリングストーン誌のインタビューで、表現の自由と芸術の自由を訴え、自身の行動を正当化しました。翌日にリリースされたデビューアルバム『For Your Entertainment』は、彼の音楽的才能を改めて世に示すものとなりました。1stシングル「Time for Miracles」は、映画『2012』のサウンドトラックに採用され、大きな話題を呼びました。

2010年には日本デビューを果たし、「エルビス・プレスリーの再来」などとして絶賛されました。その後も『Glam Nation Tour』と題したワールドツアーを開催し、世界中を熱狂させました。同年のグラミー賞では「Whataya Want From Me」が「最優秀男性ポップボーカル」にノミネートされました。

その後もソロ活動と並行して、クイーン＋アダム・ランバートとして世界中で活躍。2012年には2ndアルバム『TRESPASSING』が全米ビルボード総合アルバムチャート1位を獲得し、ゲイであることをカミングアウトしたアーティストとして初の快挙を達成。

アヴィーチーとのコラボレーションや、テレビドラマ『グリー』へのゲスト出演など、多方面での活躍は留まることを知りません。2023年には、クイーン＋アダム・ランバートとして第74回紅白歌合戦に出演するなど、日本でも高い人気を誇っています。

彼の音楽活動は、アルバム、シングル、そして数々のライブDVD/Blu-rayとして記録されています。また、映画『ボヘミアン・ラプソディ』にも出演し、俳優としても才能を発揮しています。日本でも何度も公演を行っており、多くのファンを魅了し続けています。アダム・ランバートは、自身の音楽とパフォーマンスを通して、世界中の人々に感動と勇気を与え続ける、真のエンターテイナーと言えるでしょう。

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