アッバース・イブン・アブドゥルムッタリブ

アッバース・イブン・アブドゥルムッタリブの生涯

アッバース・イブン・アブドゥルムッタリブ（566年頃生 - 653年頃歿）は、イスラーム教の創始者であるムハンマドの叔父です。彼の名前は後にアッバース朝の父系の祖として知られ、この王朝は8世紀中葉にウマイヤ朝を覆してイスラーム帝国の支配権を握りました。アッバースの存在は、彼の子孫にとって特に重要であり、歴史の中で大きな影響を与えました。

家族背景

アッバースは、ハーシム・イブン・アブドマナーフとナミル部族の女性ヌタイラの息子です。父親はイスラームの預言者ムハンマドの祖父であり、彼は異母兄弟として、アブドゥッラー・イブン・アブドゥルムッタリブやアブー・ターリブと関係を持ちます。この家族背景はアッバースに、部族の重要な地位と責任を与えました。

生活と成功

アッバースは香料貿易で成功を収め、裕福な生活を送りました。メッカへの巡礼者にザムザムの井戸の水を提供する権利を取得したのは、アブー・ターリブに対する借金を帳消しにした結果です。このようにアッバースは経済的基盤を築き、ターイフに庭園を所有するまでの富を得ました。

アッバースの結婚も家族や政治的関係に影響を与えました。彼の妻の一人、ルバーバ・ビント・ハーリスは長男ファドルを授かり、さらにヒジュラ暦7年には彼女の全血妹とムハンマドが結婚しています。これはアッバースがムハンマドとの関係強化を意図したものと見られています。

戦いと支持

アッバースは預言者の支援を行ったとされているものの、その具体的な関係は明らかではありません。彼はバドルの戦いでメッカ軍の一員として戦い、捕虜となりますが、後に解放されます。この戦いはムスリムと非ムスリムの間での重要な衝突であり、彼の行動がどう評価されるかは後世の議論の種となっています。

630年のメッカ開城では、ムハンマドに従ってともに入城し、今後の宗教の発展に関与します。その後のフナインの戦いでは、彼の雄叫びがムスリム軍に勝利をもたらしたと伝えられています。

アッバースの晩年

ムハンマドの死後、アッバースはシリアへの遠征に参加したと言われていますが、その信憑性には疑問が残ります。ウマル・イブン・ハッターブとの関係は複雑で、不仲であったものの、相互に贈り物をを授け合う関係でした。このような微妙な関係は時代背景の中で彼の立場をさらに複雑にしました。

アッバースは653年頃、約88歳で亡くなりました。彼の死はアッバース家の将来に影響を与え、後のイスラームの歴史における重要な転機となりました。アッバースの子孫は彼の名からアッバース朝を名乗り、イスラーム教の発展に寄与したことは記憶されています。

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