アトランタ級軽巡洋艦

アトランタ級軽巡洋艦

アトランタ級軽巡洋艦は、アメリカ海軍が運用した軽巡洋艦の艦級です。オマハ級巡洋艦の後継として、駆逐戦隊の旗艦となるべく設計されました。当初は8隻が計画されましたが、戦時の損耗を補うため3隻が追加され、計11隻が建造されました。一般的に防空巡洋艦として知られていますが、これは後になってからの分類であり、就役当初から防空巡洋艦を意味するCLAAという類別記号が与えられたわけではありません。

概要

1930年代に入ると、航空機の急速な発達により、艦船に対する航空攻撃の脅威が増大しました。これに対応するため、各国海軍は対空砲を搭載した防空艦の開発を始めました。イギリス海軍は、旧式のC級軽巡洋艦を改装し、多数の4インチ高角砲を搭載した強力な防空艦を完成させ、世界の注目を集めました。

アメリカ海軍も、新造する軽巡洋艦に高い防空能力を持たせることを計画しました。それまで、アメリカ海軍は51口径5インチ砲を戦艦の副砲として、また25口径5インチ砲を高角砲として使用していましたが、対艦と対空の両方をこなせる中間的な38口径5インチ両用砲を開発しました。この両用砲は、連射能力向上のため薬莢形式を採用し、アトランタ級の主砲として搭載されました。また、本来の駆逐艦部隊を指揮する嚮導艦としての役割を果たすため、53.3cm4連装魚雷発射管を2基搭載していました。

アトランタ級は、多数の両用砲に加え、優れたレーダーと射撃指揮装置も搭載しており、太平洋戦争勃発後に順次竣工し、実戦に投入されました。南太平洋海戦では、「ジュノー」や「サンフアン」が戦艦「サウスダコタ」と共に艦隊の防空に貢献しました。しかし、水上戦闘に参加した艦もあり、「アトランタ」と「ジュノー」は、第三次ソロモン海戦で日本海軍の攻撃によって沈没しました。一部の艦は大西洋にも派遣されています。

初期型は対空砲を過剰に搭載したため復元性が不足していたため、中期型となる「オークランド」以降は両用砲塔の数を削減しました。さらに、近接対空火器の増強が求められたため、「ジュノー」以降の後期型では魚雷発射管の廃止や砲配置の変更が行われました。中期型はオークランド級軽巡洋艦、後期型はジュノー級軽巡洋艦と分類されることもあります。

同型艦

1938年計画・初期型

アトランタ (USS Atlanta, CL-51)：1941年12月24日就役。1942年11月13日、第三次ソロモン海戦で沈没（自沈）。
ジュノー (USS Juneau, CL-52)：1942年2月14日就役。1942年11月13日、日本の潜水艦「伊26」の雷撃により沈没。
サンディエゴ (USS San Diego, CL-53)：1942年1月10日就役。1946年11月4日退役。
サンフアン (USS San Juan, CL-54)：1942年2月28日就役。1946年11月9日退役。

1940年計画・中期型（オークランド級軽巡洋艦）

オークランド (USS Oakland, CL-95)：1943年7月17日就役。1949年7月1日退役。
リノ (USS Reno, CL-96)：1943年12月28日就役。1946年11月4日退役。
フリント (USS Flint, CL-97)：1944年8月31日就役。1947年5月6日退役。
ツーソン (USS Tucson, CL-98)：1945年2月3日就役。1949年6月11日退役。

1943年計画・後期型（ジュノー級軽巡洋艦）

ジュノー (USS Juneau, CL-119)：1946年2月15日就役。1956年7月23日退役。
スポケーン (USS Spokane, CL-120)：1946年5月17日就役。1950年2月27日退役。
フレズノ (USS Fresno, CL-121)：1946年11月27日就役。1949年5月17日退役。

関連項目

アメリカ海軍艦艇一覧
* アメリカ海軍巡洋艦一覧

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