アドブロック

アドブロックとは

アドブロック（Ad blocking）とは、ウェブサイトを閲覧する際に表示されるインターネット広告をブロックし、非表示にする技術、またはその行為を指します。日本語では「広告ブロック」とも呼ばれ、この機能を実行するソフトウェアは「アドブロッカー」や「広告ブロッカー」と呼ばれます。アドブロックは単に広告を非表示にするだけでなく、アクセス解析などのトラッキング機能もブロックできるものが多く存在します。

アドブロックの必要性

アドブロックが利用される背景には、以下のような理由があります。

通信量の削減: 広告に含まれる画像や動画の読み込みをブロックすることで、データ通信量を削減し、通信料金を抑えることができます。
表示速度の向上: 広告表示に必要なリソースの読み込みを省略することで、ウェブページの表示速度を向上させ、快適な閲覧が可能になります。
バッテリー消費の抑制: スマートフォンでの閲覧時、不要な広告表示を抑制することで、バッテリーの消費を抑えることができます。
プライバシー保護: 広告ネットワークを通じて行われるトラッキングをブロックすることで、個人情報の収集を防ぎ、プライバシーを保護します。
マルウェア感染予防: マルウェアが仕込まれた悪質な広告をブロックすることで、感染リスクを低減します。
不快な広告の排除: 年齢制限のあるコンテンツや、画面全体を覆う広告など、不快な広告を排除し、快適なウェブ閲覧を実現します。

アドブロックの仕組み

アドブロッカーは、あらかじめ用意されたフィルターリスト（広告のブラックリスト）を参照し、広告が含まれる通信をブロックしたり、広告に使われる特定の要素（例：<div class="ad">広告</div>）やハイパーリンク（例：<a href="http://www.*.co.jp/" >広告</a>）を読み込まないようにすることで、ウェブサイトから広告を取り除きます。

アドブロッカーは、主に以下の2つの方法で広告をブロックします。

1. 通信自体のブロック:
フィルターリストに登録された特定のドメインとの通信を遮断します。
これにより通信量を削減できるだけでなく、マルウェア感染のリスクも低減できます。
ただし、広告とコンテンツが同じドメインで提供されている場合は、広告のみをブロックすることが難しい場合があります。
特定のドメインをブロックするDNSサーバーを利用すれば、ブラウザ以外の広告（スマホアプリ内広告など）もブロックできます。

2. 広告要素の非表示:
ウェブサイトのソースコードを改変し、広告が含まれる部分を削除して表示します。
通信自体はブロックしないため通信量の削減には繋がりませんが、同じドメインから提供される広告もブロックできます。
ただし、アドブロック対策を行うウェブサイトでは、アドブロックの利用を検知してコンテンツを表示しない場合があります。

フィルターリスト

フィルターリストは、企業、グループ、個人などが作成し、無償で公開されています。中でもEasylistは有名で、現在も活発に更新されています。また、特定の言語圏向けの専用フィルターリストも存在します。

アドブロックの導入

アドブロックは、主に以下の方法で導入できます。

標準搭載されたウェブブラウザの利用:
Arc, Brave, Microsoft Edge, Opera, Vivaldiなどの一部ブラウザには、標準でアドブロック機能が搭載されています。
ブラウザの拡張機能の利用:
AdBlock, Adblock Plus, AdGuard, Ghostery, uBlock Originなどの拡張機能を利用することで、手軽にアドブロックを導入できます。

企業とアドブロック

ウェブサービスは、広告収入を運営資金としている場合が多く、アドブロックの利用は収入減少に繋がるため、企業はアドブロック対策として、利用者にアドブロックの無効化を要求したり、アドブロックが有効な場合はコンテンツを非表示にするなどの対策を行っています。しかし、このような対策は減少傾向にあります。

動画共有サービスへの影響

動画共有サービスでは、アドブロックの使用により、動画投稿者の広告収入が減少する問題が生じています。

例えば、YouTubeはアドブロックを使用しているユーザーに対し、アドブロックの無効化または有料プランの加入を要求する対策を導入しています。この対策に対し、プライバシー侵害の観点から異議を唱える意見もあります。

また、ニコニコ動画を運営するドワンゴは、アドブロックにより年間1億円以上の損失が出ていると発表し、アドブロックの無効化または、ニコニコのドメインをホワイトリストに登録するよう呼び掛けています。

これらの動きは、アドブロックがインターネット上の広告表示に大きな影響を与えていることを示しています。

まとめ

アドブロックは、ウェブ閲覧の快適性を向上させる便利なツールですが、広告収入に依存するサービスにとっては大きな課題となっています。利用者は、アドブロックの利点と、ウェブサービスへの影響を理解した上で、適切な利用を検討することが重要です。

外部リンク

* よくある質問 Yuki2718 - 広告ブロックフィルタ開発者による解説

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