アドミラル・ウシャコフ級海防戦艦

アドミラル・ウシャコフ級海防戦艦

アドミラル・ウシャコフ級海防戦艦は、ロシア帝国海軍が展開した沿岸防備用の装甲艦です。この艦級は、1890年に開始された造艦計画に基づいて発注され、1893年から1899年にかけて建造されました。最初に建造された艦船は、「アドミラル・ウシャコフ」、「アドミラル・セニャーヴィン」、および「ゲネラル＝アドミラル・アプラクシン」の3隻で、これらは全てバルチック艦隊に配属されました。

計画と設計

この計画は、海軍大臣ニコライ・チハチェフ中将の指示により始まりました。設計は、ギリシャのイドラ級海防戦艦を参考にし、バルト海での戦闘能力を強化するために求められました。従来の設計と比べ、より強力な武装と装甲を持ち、海中での生存能力を高めることを狙った結果、多様な設計案が検討されました。特に、305mmの主砲や厚い装甲が提案され、最終的には253mm砲が搭載されることになりました。

建造の経緯

1892年にアドミラル・ウシャコフ級の艦船の建造が始まりましたが、予算や設計変更によって建造に時間がかかりました。起工式は1892年10月に行われ、その後様々な試験や改良を経て、最終的には1897年に艦籍が認められました。特にアドミラル・ウシャコフは、試験航行を経て1897年に正式に海軍に引き渡されました。

軍歴と運用

日露戦争では、アドミラル・ウシャコフ級の艦船は日本海海戦に参加し、激しい戦闘を経験しました。特に「ウシャコフ」は戦闘で沈没し、「セニャーヴィン」と「アプラクシン」は日本に鹵獲されました。これらの艦は日本海軍に編入され、それぞれ「見島」、「沖島」と改名されました。

諸元と性能

アドミラル・ウシャコフ級は、同クラスの海防戦艦と比べ、岩礁の多い近海域での作戦を想定して設計されましたが、日露戦争では外洋での運用が求められました。この背景から、この艦級の評価は分かれています。特に外洋での性能を発揮できなかった点や当時の外交情勢を考慮すると、建造自体が誤った決断だったと見なす向きもあります。

評価

この級の艦艇は、装甲や武装で一定の攻撃力を有していたものの、運用環境がその実力を発揮できるものでなかったため、最終的には不適切な設計と考えられています。ロシア帝国の歴史の中で重要な位置を占めているものの、その運用成績には一部批判も多く見られます。アドミラル・ウシャコフ級やその姉妹艦の経歴は、戦艦開発史において興味深い研究対象となっています。

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