アドリア航空

アドリア航空について

アドリア航空（Adria Airways）は、スロベニアの国営航空会社として1961年に設立され、長い間ヨーロッパ市場で重要な役割を果たしてきました。スロベニアの首都リュブリャナに本拠を置き、スターアライアンスのメンバーとしても知られていますが、2019年に経営破綻し、全便の運航を停止しました。

会社の設立と初期の運航

創業当初のアドリア航空は「Adria Aviopromet」という名称で、KLMから取り寄せたDC-6B機を用いて最初のフライトを実施しました。当初はチャーター便のみを運航し、主にアドリア海沿岸へ旅行客を輸送していました。1964年に本拠地をザグレブからリュブリャナ空港に移し、業務を拡大しました。しかし、1968年に財政的な問題に直面し、一度倒産を経験します。

継続と合併

倒産後、スロベニア商工会議所の援助により運営を続けることが可能になり、1970年にはセルビアのインターエクスポートとの合併を経て「Inex-Adria Aviopromet」に改名されました。1970年代には、国内線の運航にも乗り出し、さらにはマクドネル・ダグラスMD-80を用いた定期便の運航も行うようになりました。1984年には国際路線の運航を開始し、1986年には独立した航空会社として再び「Adria Aviopromet」と名乗るようになりました。

スロベニアのフラッグ・キャリア

1991年にスロベニアが独立を宣言した後、アドリア航空はスロベニアのフラッグ・キャリアとしての地位を確立し、定期便の運営を重視した経営改革を実施しました。特に、1996年にはスロベニア政府が100%出資する国有企業となり、ルフトハンザ航空との提携も開始しました。

1990年代後半には、リュブリャナ空港を拠点としたバルカン半島への路線網が整備され、サラエボやティラナなどとの接続が強化されました。2004年にはスターアライアンスに地域会員として加盟し、2009年に通常メンバーへ昇格します。

経営の危機と最終的な倒産

しかし、2000年代の後半からアドリア航空は経営難に直面し、累積赤字が問題となりました。その結果、2011年にスロベニア政府から公的な融資を受けて再建策に乗り出しましたが、ついには2019年に破産手続きを行い、すべての航路を停止することになりました。破産後、スロベニア政府は新しい航空会社の設立を検討する意向を示しました。

機材とサービス

アドリア航空は、当初はロシア製のスホーイ・スーパージェット100を15機発注しましたが、その後キャンセルしました。また、航空機の整備施設はボンバルディア・エアロスペースのCRJ機の整備センターとして利用されており、他社への保守サービスも提供していました。

主な事故

アドリア航空の歴史の中でいくつかの重大な事故が発生しました。特にイネックス・アドリア航空450便墜落事故や、ザグレブ空中衝突事故などは、業界に大きな影響を与えました。

スロベニアの航空業界において、アドリア航空の存在は非常に重要でしたが、その歴史は膨大な変遷と挑戦の繰り返しでした。今後、この国の航空ビジネスにどのような展開が待っているのか注目されます。

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