アナスタシア・ニコラエヴナ (1868-1935)

アナスタシア・ニコラエヴナの生涯

アナスタシア・ニコラエヴナ（1868年12月23日 - 1935年11月25日）は、モンテネグロの公妃であり、ロシア皇族としても知られる重要な人物です。彼女は、モンテネグロ公ニコラ1世とその妃ミレナ・ヴコティッチの間に生まれ、故郷のツェティニェで育ちました。モンテネグロでの名はスタナで、彼女の子供時代は公爵家の娘として恵まれたものでした。

1889年、アナスタシアは第6代ロイヒテンベルク公ゲオルギーと結婚しました。この結婚から二人の子ども、セルゲイ（1890年 - 1974年）とエレナ（1892年 - 1971年）が誕生しました。しかし、結婚生活は不幸なものであり、1906年に離婚を決意しました。彼女の波乱はその後も続き、同年中に前夫ゲオルギーの従弟であるロシア大公ニコライ・ニコラエヴィチと再婚しました。この大公は、ニコライ1世の孫にあたるため、アナスタシアは再び帝室に連なる存在となります。

アナスタシアは敬虔な正教会信者であり、反トルコ主義の汎スラヴ主義者としても知られています。ニコライ・ニコラエヴィチとの結婚は、宗教的、政治的な信念が一致していたことから、幸福なものでしたが、子供に恵まれることはありませんでした。ただし、彼女は長姉ゾルカの長女イェレナを引き取り、共にロシアで育てました。イェレナは、成長後にロシア公イオアン・コンスタンチノヴィチと結婚し、エレナ・ペトロヴナとして知られるようになりました。

さらに、アナスタシアは神秘主義に深く傾倒し、姉のミリツァやその夫とともに「黒い家族」と呼ばれるようになりました。20世紀初頭のロシア宮廷において、彼女たちは非常に大きな影響力を持っており、ニコライ2世一家にグリゴリー・ラスプーチンを紹介したのも彼女たちの手によるものでした。

1919年、ロシア革命が勃発すると、アナスタシアは他のロマノフ家の生存者とともに、イギリス海軍の軍艦マールバラを通じてロシアを脱出しました。その後、妹エレナが住むイタリアに亡命し、のちにフランスへ移り住むこととなります。アナスタシアは1935年にフランスのアンティーブで亡くなりました。

彼女の人生は、王族としての栄光を享受しつつも、困難に満ちた道のりであったと言えるでしょう。アナスタシア・ニコラエヴナの物語は、ロシアの歴史や文化においても重要な位置を占めています。

もう一度検索