アパッチ砦

映画『アパッチ砦』：無謀な作戦が招く悲劇

1948年に公開された『アパッチ砦』は、ジョン・フォード監督による西部劇映画で、騎兵隊三部作の第一作として知られています。ジェームズ・ワーナー・ベラの原作を基に、カスター中佐率いる第七騎兵隊の全滅（リトルビッグホーンの戦い）をモデルに、軍隊の悲劇を描いています。後の『黄色いリボン』、『リオ・グランデの砦』といった三部作の他の作品と比較すると、やや異質な側面も持っています。

概要

物語は、南北戦争での失態により左遷されたサースデイ中佐が、アパッチ族との紛争が絶えないアパッチ砦に着任するところから始まります。彼は軍規至上主義者で、現場の状況を理解しようとせず、手柄を立てて将軍に返り咲くことばかりを考えています。その結果、熟練したヨーク大尉をはじめとする現場の意見を聞き入れず、隊員たちに厳しい訓練を課し、無謀な作戦を強行していきます。この司令官の傲慢さが、最終的には悲劇を招くこととなります。

この映画は、現場を知らない司令官の独断専行が、いかに悲惨な結果をもたらすかを強調しています。それは、黒澤明監督の『影武者』など、後世の作品にも影響を与えました。

ストーリー

サースデイ中佐は、娘のフィラデルフィアを連れてアパッチ砦に赴任します。砦には、情勢を熟知しているヨーク大尉、後方勤務を希望するコリングウッド大尉らがいました。しかし、サースデイは軍規を最優先し、隊員の服装の乱れを指摘するなど、形式にばかりこだわります。彼は手柄を立てることに執心し、隊員たちに過酷な訓練を強いるだけでなく、ヨーク大尉らの意見を無視します。

一方、オローク軍曹の息子であるマイケル・オローク中尉（ミッキー）が士官学校を卒業して砦に戻ってきます。ミッキーは父との再会を喜び、またフィラデルフィアと恋に落ちます。しかし、幸せな時間は長くは続きません。デート中に、幌馬車が横転し、ミッキーの部隊の仲間たちが焼死しているのを発見します。

キャスト

カービー・ヨーク大尉: ジョン・ウェイン - コーチーズ族長との平和交渉を担う。
オーエン・サースデイ中佐: ヘンリー・フォンダ - アパッチ砦の司令官。
フィラデルフィア･サースデイ: シャーリー・テンプル - サースデイ中佐の娘。
ビューフォート上等兵: ペドロ・アルメンダリス - スペイン語を話し、族長との交渉の通訳を担当。
オローク軍曹: ワード・ボンド - ミッキーの父。
サム・コリングウッド大尉: ジョージ・オブライエン
フェストゥス･マルカーヒー軍曹: ヴィクター・マクラグレン - マイケルのおじ。
エミリー・コリングウッド: アンナ・リー - コリングウッド大尉の妻。
メアリー・オローク: アイリーン・リッチ - ミッキーの母。
クインキャノン軍曹: ディック・フォラン - 夜に歌を歌う。
ウィルキンス医師: ガイ・キッビー
サイラス･ミーチャム: グラント・ウィザース - インディアンと取引をしている。
ダニエル・シャタック軍曹: ジャック・ペニック - マイケルのおじ。
ゲイツ中尉: レイ・ハイク - コリングウッド大尉副官の後任。
グアダルーペ: モヴィータ・カスタネダ - サースデイ家の料理人。
マイケル・オローク中尉（ミッキー）: ジョン・エイガー - 士官学校出身。

映画のテーマ

『アパッチ砦』は、軍隊組織におけるリーダーシップの重要性と、現場の意見を無視することの危険性を描いています。サースデイ中佐の傲慢さと無謀な作戦は、組織の崩壊を招き、多くの犠牲者を出します。また、この映画は、友情、愛情、そして戦争の悲劇といった普遍的なテーマを扱っており、観る者の心に深く残る作品です。

影響

この映画は、後の西部劇や戦争映画に大きな影響を与えました。特に、組織のリーダーシップのあり方や、独断専行がもたらす悲劇を描いた作品として、高く評価されています。

外部リンク

アパッチ砦 - allcinema
アパッチ砦 - KINENOTE
Fort Apache - オールムービー（英語）
Fort Apache - IMDb（英語）

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