アビアンカ航空203便爆破事件

アビアンカ航空203便爆破事件

アビアンカ航空203便爆破事件は、1989年11月27日に発生した深刻な航空事故です。コロンビアのボゴタからアルフォンソ・ボニーヤ・アラゴン国際空港へ向かうはずだったアビアンカ航空203便が、ソアチャ市上空で爆弾の爆発により破壊されました。この事件により、全107名の乗客および乗員が命を落とし、地上の3人も犠牲となりました。

機体と乗組員

アビアンカ航空203便は、ボーイング727-21型機であり、機体記号はHK-1803です。この機体は1966年に製造され、元はパンアメリカン航空の所有物でした。アビアンカ航空は1975年にこの機体を購入し、再登録を行いました。203便の機長はホセ・イグナシオ・オッサ・アリスチャバル、副操縦士はフェルナンド・ピサロ・エスゲラ、航空機関士はルイス・ジャイロ・カスティーブランコ・バルガスでした。さらに、客室乗務員が3名搭乗していました。

事件の経過

203便は午前7時13分にボゴタを出発しました。しかし、離陸からわずか5分後、時速794キロで飛行中の機体に爆発が発生しました。この爆発は、空中の燃料タンク内の蒸気に引火したことによって起こりました。目撃者によると、機体の右側面から炎が噴き出し、続いて二度目の爆発が発生。機首と尾翼が分離し、機体は炎に包まれて墜落しました。残骸はソアチャの町を中心に広がり、飛行機の乗客乗員と地上の人々に大きな悲劇をもたらしました。

調査と犯人の特定

事件後の調査では、爆破にプラスチック爆薬が使用されたことが明らかになりました。麻薬カルテルのリーダー、パブロ・エスコバルが政治的な目的でこの爆破事件を企てていたとされています。彼は、コロンビアの大統領候補、セサル・ガビリアを狙っており、爆弾を持った2人の男が飛行機に搭乗していたと証言されています。彼らは、18A席と18K席に座り、搭乗の直前に一人が機内に残り、自爆しました。エスコバルの思惑に反してガビリアは飛行機に乗っておらず、結果として彼は後にコロンビア大統領となりました。

結果と後日談

今回の事件はアメリカにも波紋を呼び、当時の大統領ジョージ・H・W・ブッシュはエスコバルを捕まえるための諜報活動を命じました。エスコバルは1993年に射殺されました。爆破事件を指揮したダンデニー・ムニョス・モスケラは、有罪判決を受けて終身刑を言い渡されました。

2016年にはコロンビアの新聞エル・エスペクタドールが、この事件に関する新たな調査結果を発表。事件の原因がタンク内の燃料ポンプの故障に起因すると主張しましたが、アビアンカ航空や犠牲者の遺族からの反発がありました。

メディアにおける影響

この悲劇的な事件は、後にNetflixのシリーズ『ナルコス』の第1シーズン第6話でも取り上げられました。記憶に残る大事件として、今なお多くの人々に語り継がれています。

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