アビゲイル (アルバム)

『アビゲイル』（Abigail）は、デンマークのヘヴィメタルバンド、キング・ダイアモンドが1987年に発表した2作目のスタジオ・アルバムです。

背景

本作は、ジョナサン・ラ・フェイとミリアム・ネイティアスのカップルを主人公とした、恐怖のコンセプト・アルバムです。物語は、二人が移り住んだ邸宅に、1777年7月7日に埋葬された死産児「アビゲイル」（ジョナサンの先祖の妻が身ごもった不義の子）が、ミリアムに憑依し、彼女の子として再生しようとする様を描いています。

Eduardo Rivadaviaは、アビゲイル・ラ・フェイというキャラクターの名前が、サタン教会の創始者であるアントン・ラヴェイから影響を受けた可能性を指摘しています。

本作のセッションで録音された楽曲「シュライン」は、アルバム全体のコンセプトに合わなかったため、収録が見送られ、シングル「ザ・ファミリー・ゴースト」のB面に収録されました。また、本作のリリースに伴うツアーの模様は、1991年にライブ・アルバム『イン・コンサート1987—アビゲイル—』として発表されています。

2002年には、本作の続編となるアルバム『アビゲイルII:ザ・リヴェンジ』が発表されました。

反響・評価

本作は、スウェーデンで前作『フェイタル・ポートレイト』（1986年）に続き、ナショナル・チャート入りを果たし、2回（4週）連続でトップ60入りし、最高39位を記録しました。アメリカでは、バンド初のBillboard 200入りを果たし、最高123位を記録しています。

Eduardo Rivadaviaは、オールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け、「キング・ダイアモンドのソロ・キャリアにおける名盤として広く知られているのみならず、ヘヴィメタル界においても特に偉大なコンセプト・アルバムの一つである」と評価しています。ドム・ローソンは2020年、キング・ダイアモンドの全キャリア（マーシフル・フェイト名義の作品も含む）におけるアルバムのランキングで本作を3位に挙げ、「完璧なリフが燃え盛る、見事なまでに捻じれたホラー・ショー」と評しています。

収録曲

1. フューネラル - "Funeral" – 1:30
2. アライヴァル - "Arrival" – 5:26
3. ア・マンション・イン・ダークネス - "A Mansion in Darkness" (King Diamond, Andy LaRocque) – 4:34
4. ザ・ファミリー・ゴースト - "The Family Ghost" – 4:05
5. ザ・セヴンス・デイ・オヴ・ジュライ・1777 - "The 7th Day of July 1777" (K. Diamond, A. LaRocque) – 4:50
6. オーメンズ - "Omens" – 3:56
7. ザ・ポゼッション - "The Possession" (K. Diamond, Michael Denner) – 3:26
8. アビゲイル - "Abigail" – 4:50
9. ブラック・ホースメン - "Black Horsemen" – 7:39

1997年リマスターCDボーナス・トラック

10. シュライン - "Shrine" (K. Diamond, A. LaRocque) – 4:23
11. ア・マンション・イン・ダークネス（ラフ・ミックス） - "A Mansion in Darkness (Rough Mix)" (K. Diamond, A. LaRocque) – 4:35
12. ザ・ファミリー・ゴースト（ラフ・ミックス） - "The Family Ghost (Rough Mix)" – 4:09
13. ザ・ポゼッション（ラフ・ミックス） - "The Possession (Rough Mix)" (K. Diamond, M. Denner) – 3:28

参加ミュージシャン

キング・ダイアモンド - ボーカル
アンディ・ラ・ロック - リードギター
マイケル・デナー - リードギター
ティミ・ハンセン - ベース
ミッキー・ディー - ドラムス

アディショナル・ミュージシャン

ロベルト・ファルカン - キーボード・エフェクト

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