アビバ (保険会社)

アビバ：世界を舞台に躍動する保険巨人の歴史

アビバ(Aviva)社は、世界21カ国以上で事業を展開する多国籍保険会社として知られています。その歴史は、19世紀半ばにさかのぼり、幾多の企業合併と買収劇を経て、現在の規模へと成長を遂げてきました。本稿では、アビバの前身となった3つの主要企業、コマーシャル・ユニオン、ゼネラル・アクシデント、そしてノリッジ・ユニオンの歩みを辿りながら、アビバの歴史を紐解いていきます。

コマーシャル・ユニオン：火災から始まったグローバル企業

1861年、テムズ川南岸で発生した大火をきっかけに設立されたコマーシャル・ユニオンは、当初は火災保険を主力事業としていました。創業後まもなく、ヨーロッパやアメリカに代理店を拡大し、急速に事業を拡大。1860年代後半までに、南アフリカやカリブ海にも進出し、イギリス商人の海外進出を支えました。1870年代にはシカゴとボストンの大火で多額の保険金を支払う事態にも直面しながらも、アメリカ市場における成功を収め、19世紀末には、欧州、カナダ、オーストラリアへと事業を拡大。保険料収入の3/4以上を海外市場から獲得するまでに成長しました。

20世紀に入ると、火災保険にとどまらず、生命保険、海上保険、損害保険など、総合保険事業へと事業を多角化。マンチェスターの保険会社であるパラタイン保険の買収をはじめ、数多くの企業買収を繰り返すことで、事業規模を拡大しました。1906年のサンフランシスコ地震という大きな試練を乗り越え、第一次世界大戦後も成長を続け、戦間期には自動車保険業界にも進出。激しい競争を勝ち抜き、1960年代以降も積極的な買収戦略を展開し、ヨーロッパ市場における地位を確固たるものにしていきました。

ゼネラル・アクシデント：労働環境改善を背景に成長

1880年の使用者責任法の制定を背景に、1885年に設立されたゼネラル・アクシデントは、当初は使用者責任保険を主力事業としていました。コマーシャル・ユニオンと同様に、積極的に海外展開を進め、1890年代にはアメリカ、オーストラリア、カナダなどに進出。1899年にはスコットランドのゼネラル・ファイアーと合併し、火災保険事業にも参入しました。20世紀に入ると、自動車保険事業に参入し、モーリス社との提携などを通じて市場における地位を確立。第二次世界大戦後も、積極的な買収戦略を展開し、1980年代にはイギリスにおけるトップ保険会社へと成長しました。しかしながら、異常気象やエイズ流行による保険金支払増加などの影響を受けつつも、リストラなどを経て、1990年代には大きな利益を計上しました。

ノリッジ・ユニオン：歴史ある相互会社からグローバル企業へ

1797年に火災保険の相互会社として設立されたノリッジ・ユニオンは、長い歴史と伝統を誇ります。創業当初は同族経営でしたが、19世紀半ばにはガーニー家という有力な金融家一族が経営に深く関わるようになりました。20世紀初頭には、生命保険事業にも進出し、英連邦諸国を中心に事業を拡大。第二次世界大戦後には、住宅ローン事業にも積極的に進出し、事業の多角化を推進しました。1960年代以降は、アメリカ市場からの撤退や、他社との合併などを経て、1990年代には、CGUとの合併という新たな局面を迎えることとなりました。

３社の合併とアビバの誕生

1998年、コマーシャル・ユニオンとゼネラル・アクシデントが合併し、CGU（コマーシャル・ゼネラル・ユニオン）が誕生しました。その後、2000年にはノリッジ・ユニオンと合併し、CGNU（コマーシャル・ゼネラル・ノリッジ・ユニオン）となりました。2001年にはアメリカ事業を売却し、2002年に社名をアビバに変更。世界規模での事業再編を進め、現在のグローバル企業としての基盤を築きました。中国市場などへの積極的な展開も行っており、今後も世界的な保険業界において重要な役割を担っていくことが期待されています。

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