アビレス

アビレスは、スペイン北部のアストゥリアス州に位置するムニシピオ（基礎自治体）であり、州内ではヒホン、オビエドに次ぐ第三の都市として知られています。この都市は、自治体内の教区名でもあり、その中心となっています。アビレスの自治体域は南北7.5km、東西6.25km、総面積は26.81km²とコンパクトながらも、重要な役割を担っています。

アストゥリアス沿岸の中央北部に位置し、ペニャス岬の西、アビレス入江に面したアビレスは、国内有数の海港と産業都市としての顔を持っています。市街地は平坦な土地に広がり、標高140mに満たない小さな岬に囲まれています。また、人気のあるサリナスなどのビーチにも近く、観光地としての魅力も備えています。

気候

アビレスの気候は、大西洋岸の影響を受け、夏は温暖で晴天と曇りが交互に訪れます。冬は雨と風が強く、時に気温が下がると海岸で降雪が見られることもありますが、気温が0℃を下回ったり、30℃を超えることは稀です。

歴史

アビレスの歴史は古く、先史時代の遺跡から定住の歴史が確認されています。905年以降にその存在が知られるようになり、アビレスという名前は、この地の領主であったローマ人アビリウスに由来するとされています。

最初の公文書記録には、905年にアストゥリアス王アルフォンソ3世が2つの教会に寄付を行ったことが記されています。1085年には、カスティーリャ王アルフォンソ6世によってフエロ（特権）が与えられました。中世のアビレスはビスケー湾有数の港として栄え、特にフランスの港との間で塩などの交易が盛んに行われていました。

当時、アビレスは漁民が暮らすサブゴ地区と、特権階級が暮らすラ・ビリャ地区の二つに分かれていました。ラ・ビリャ地区は壁に囲まれ、その戦略的な重要性を示していました。1479年には、カトリック両王から毎週月曜日に自由市場を開く特権を与えられ、この市場は現在も続いています。アビレスは海軍基地としての重要性も持ち、近隣の森林から切り出された木材で造船も盛んでした。

フェリペ2世の軍人であったペドロ・メネンデス・デ・アビレスはアビレス出身で、16世紀にはフロリダを探検し、アメリカ合衆国のセントオーガスティンを建設しました。また、カルロス2世の宮廷画家フアン・カレーニョ・ミランダもアビレスの出身です。

近代に入ると、航行困難になった入り江は埋め立てられ、サブゴ地区とラ・ビリャ地区を隔てていた水路も埋め立てられました。都市は中世の城壁の外へと拡大し、壁は1818年に取り壊されました。20世紀には、大規模な工場が建設され、人口が急増しました。1953年にはエンシデサ（現在のアルセロール）の製鉄所が建設され、クリスタレリア・エスパニョーラ（現在のアルコア）などの企業も進出し、アビレスはスペインの産業の中心地へと変貌を遂げました。

建築

アビレスには、サント・トマス・デ・カントルブリ旧教会（13世紀）、サン・ニコラス・デ・バリ教会（13世紀）などの歴史的な建築物が残っています。これらの教会が外国の聖人の名前を冠しているのは、中世の国際貿易の影響を示しています。バロック様式のカンポサグラード邸は、海賊からの攻撃に備え、防御が強化された北側のファサードが特徴です。

文化

アビレスでは、夏にアビレス・インテルセルティコ・フェスティバルが開催されます。この祭りには、ケルト文化が色濃く残るブルターニュ、アイルランド、ウェールズ、スコットランド、ガリシア、そしてアストゥリアスから人々が集まり、ケルト文化を祝います。その他にも、1月5日には東方三博士の騎馬行列、3月から4月にかけてセマナ・サンタ、9月8日にはコバドンガの聖母祭が開催されます。

スポーツ

アビレスには、サッカークラブのレアル・アビレスCFがあり、セグンダ・ディビシオンRFEFに所属しています。

姉妹都市

アビレスは、以下の都市と姉妹都市関係にあります。
セントオーガスティン（アメリカ合衆国）
サン＝ナゼール（フランス）
アイウン（西サハラ）
カルデロン（キューバ）

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