アフター・アワーズ (ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲)

アフター・アワーズ：ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの名曲

「アフター・アワーズ」（原題：After Hours）は、1969年にヴェルヴェット・アンダーグラウンドがリリースした楽曲です。この曲は、彼らの3枚目のアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』に収録されており、特にモーリン・タッカーのリード・ボーカルによって広く知られています。リード・ボーカルを自ら歌うことなくモーリンに託したのは、バンドの中心であるルー・リードによるものです。彼はこの曲を「非常に無垢で純粋すぎるため、自分としては歌えなかった」と表現しています。

楽曲の演奏には、ルー・リードのアコースティック・ギターとダグ・ユールのベースのみが使用されており、そのシンプルさが魅力を引き立てています。アフター・アワーズは、聴く人に深い感情を与えると同時に、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの音楽の中でも独特な存在感を放っています。

別バージョン・リリース

この曲は、その後さまざまなバージョンがリリースされています。2014年には『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド - 45周年記念盤 スーパー・デラックス・エディション』が発売され、「The Closet Mix」や「モノ・ミックス」、ライブ・バージョンが収められています。また、2015年には『ザ・コンプリート・マトリックス・テープズ』がリリースされ、1969年11月26日と27日にサンフランシスコのマトリックスで行われたライブの模様を収録した2種類のバージョンが登場しました。

他にも、1972年に発売された『ライヴ・アット・マクシズ・カンサス・シティ』には、1970年8月23日にニューヨークで行われたライブのバージョンが収録されています。この回の演奏メンバーにはルー・リードの他に、スターリング・モリソン、ダグ・ユール、ビル・ユールが名を連ねています。1993年には、再結成コンサートとしてパリで行われた『ライヴ1993』もリリースされ、モーリン・タッカーが本来の形でボーカルを務めていることが特徴です。

カバー・バージョン

「アフター・アワーズ」は、多くのアーティストにもカバーされ、様々なアプローチで楽しまれています。例えば、R.E.M.は1989年のツアーでこの曲を演奏し、ライブ音源が1990年9月のビデオ『Tourfilm』に収められました。また、1991年のシングル「Losing My Religion」にも関連するバージョンとして収録されています。

さらに、1991年にはアンソニー・キーディスとジョン・フルシアンテがオランダの放送局でボートの上でこの曲を演奏する映像が残っており、そのユニークなシチュエーションも話題になりました。モーリン・タッカー自身も2002年にカバーを発表し、彼女のシングル「アイム・スティッキング・ウィズ・ユー」とのカップリングでリリースされています。

他にも、ライロ・カイリー、ザ・ギャミッツ、ベイビーシャンブルズなど、近年のアーティストたちもカバーを行い、彼らの音楽の中で新たな解釈が加わっています。これらのリリースは、元々の曲の持つ魅力を保ちながら、各アーティストの独自性を表現しています。

「アフター・アワーズ」は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの作品の中でも特に印象深い一曲であり、多くのリスナーに愛され続けています。その純粋さと美しさは、世代を超えて共感を呼び、今後も多くの音楽シーンに影響を与え続けることでしょう。

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