アフター・ザ・ウォー

ゲイリー・ムーア『アフター・ザ・ウォー』

『アフター・ザ・ウォー』（After the War）は、北アイルランド出身のギタリスト、ゲイリー・ムーアが1989年に発表した9枚目のスタジオ・アルバムです。前作『ワイルド・フロンティア』の路線を継承しつつ、より多様な音楽性を取り入れた作品として知られています。

制作背景

本作は、前作『ワイルド・フロンティア』に引き続き、ニール・カーター（キーボード）とボブ・デイズリー（ベース）が主要メンバーとして参加し、ゲイリー・ムーアの音楽性を支えています。また、コージー・パウエルがドラムスを担当したことも大きな話題となりました。しかし、コージー・パウエルはツアーには参加せず、クリス・スレイドがツアー・ドラマーを務めました。

コージー・パウエルは後に、ゲイリー・ムーアとのリハーサルについて、「ドラムマシンに合わせろとか、以前のアルバムの音に一音一音合わせろと言われ、悲しかった」と語っています。この発言から、ゲイリー・ムーアが本作において、過去の作品の再現にこだわっていたことが伺えます。

楽曲について

アルバムには、多様な楽曲が収録されています。その中でも特に注目されるのは、「レッド・クローンズ」です。この曲は、当時「レッド・ツェッペリンを真似ている」と批判されていたキングダム・カムやホワイトスネイクのパロディであり、オジー・オズボーンがリード・ボーカルを務めたことで話題になりました。また、「ザ・メシア・ウィル・カム・アゲイン（メシアが再び）」は、ロイ・ブキャナンのカバーであり、ゲイリー・ムーアの幅広い音楽的ルーツを感じさせる楽曲です。

さらに、ゲイリー・ムーアはシン・リジィのアルバム『脱獄』（1976年）からの曲「エメラルド」も録音しており、このバージョンはCDシングル「アフター・ザ・ウォー」のカップリング曲としてリリースされ、後に本作のリマスターCDにボーナス・トラックとして追加収録されました。

リリースと反響

LP版は8曲入りでしたが、CD版には「ダンルース」が追加され、さらにリマスターCDではボーナス・トラックが追加されました。

先行シングル「アフター・ザ・ウォー」は、全英シングルチャートで37位、ノルウェーのシングルチャートで4位を記録しました。アルバム自体は、ドイツのアルバムチャートで2位を記録し、自身初のトップ5入りを果たしました。しかし、全英アルバムチャートでは23位にとどまりました。その後、「レディ・フォー・ラヴ」がシングルカットされましたが、全英56位という結果でした。

収録曲

「ダンルース」と「ザ・メシア・ウィル・カム・アゲイン（メシアが再び）」はインストゥルメンタル曲です。

LP
Side A
1. アフター・ザ・ウォー - "After the War"
2. スピーク・フォー・ユアセルフ - "Speak for Yourself"
3. リヴィン・オン・ドリームス - "Livin' on Dreams"
4. レッド・クローンズ - "Led Clones"
Side B
1. ラニング・フロム・ザ・ストーム - "Running from the Storm"
2. ディス・シング・コールド・ラヴ - "This Thing Called Love"
3. レディ・フォー・ラヴ - "Ready for Love"
4. ブラッド・オブ・エメラルズ - "Blood of Emeralds"

CD
1. ダンルース（パート1） - "Dunluce Pt. 1"
2. アフター・ザ・ウォー - "After the War"
3. スピーク・フォー・ユアセルフ - "Speak for Yourself"
4. リヴィン・オン・ドリームス - "Livin' on Dreams"
5. レッド・クローンズ - "Led Clones"
6. ザ・メシア・ウィル・カム・アゲイン（メシアが再び） - "The Messiah Will Come Again"
7. ラニング・フロム・ザ・ストーム - "Running from the Storm"
8. ディス・シング・コールド・ラヴ - "This Thing Called Love"
9. レディ・フォー・ラヴ - "Ready for Love"
10. ブラッド・オブ・エメラルズ - "Blood of Emeralds"
11. ダンルース（パート2） - "Dunluce Pt. 2"

リマスターCDボーナス・トラック
1. エメラルド - "Emerald"
2. オーヴァー・ザ・ヒルズ・アンド・ファー・アウェイ〜望郷の果て（ライヴ） - "Over the Hills and Far Away (Live)"
3. ミリタリー・マン（ライヴ） - "Military Man (Live)"
4. ワイルド・フロンティア（ライヴ） - "Wild Frontier (Live)"

参加ミュージシャン

ゲイリー・ムーア - ボーカル、ギター
ニール・カーター - キーボード、バッキング・ボーカル
ボブ・デイズリー - ベース
コージー・パウエル - ドラムス

アディショナル・ミュージシャン

オジー・オズボーン - ボーカル(on "Led Clones")、バッキング・ボーカル（on "Speak For Yourself"）
アンディ・リチャーズ - キーボード(on "After the War", "Blood of Emeralds")
ドン・エイリー - キーボード(on "The Messiah Will Come Again", "Running from the Storm", "This Thing Called Love")
ローレンス・コットル - ベース(on "The Messiah Will Come Again")
スティーヴ・ピゴット - シーケンス・ベース(on "Ready for Love")
チャーリー・モーガン - ドラムス(on "After the War")
サイモン・フィリップス - ドラムス(on "Speak for Yourself", "Blood of Emeralds")
アンドリュー・エルドリッチ - バッキング・ボーカル(on "After the War", "Speak for Yourself", "Blood of Emeralds")
クリス・トンプソン - バッキング・ボーカル(on "After the War", "Led Clones", "Ready for Love")
サム・ブラウン - バッキング・ボーカル(on "Ready for Love")
* ミリアム・ストックリー - バッキング・ボーカル(on "Ready for Love")

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