ボブ・デイズリー

ボブ・デイズリー：ハードロック界を支えた名ベーシスト

ボブ・デイズリー（Robert "Bob" Daisley、1950年2月13日 - ）は、オーストラリア出身のベーシスト、作詞家、作曲家です。彼は数多くのハードロック関連アーティストと共演し、特にオジー・オズボーンとの活動を通じて、数々のヒット曲を生み出したことで知られています。

黎明期：リズム・アンド・ブルースからハードロックへ

1964年に初めてベースを手にしたデイズリーは、モータウンなどのリズム・アンド・ブルースを演奏していました。1970年にはカーバス・ジュートの"Wide Open"で初の本格的なレコーディングを経験。その後ロンドンへ移住し、ブルース・ベースのバンド、チキン・シャックやマンゴ・ジェリーに参加しました。1975年には、ブラック・サバス・スタイルのバンド、ウィドウメイカーに加入し、2枚のアルバム制作に関わっています。

レインボーへの参加と脱退

1977年7月、デイズリーはアルバム制作中のレインボーに加入を打診され、マーク・クラークの後任として参加します。彼はアルバム『バビロンの城門』の一部の曲にのみ参加しましたが、アルバムはイギリスのチャートで7位を記録するヒットとなりました。1977年から1978年にかけてのツアーにも参加しましたが、リーダーのリッチー・ブラックモアによるバンドの刷新に伴い脱退。ブラックモアはデイズリーのソングライターとしての才能を高く評価していたと言われています。

オジー・オズボーンとの蜜月と軋轢

1979年、ブラック・サバスを解雇されたオジー・オズボーンは、ランディ・ローズ（ギター）、リー・カースレイク（ドラムス）と共にブリザード・オブ・オズを結成。デイズリーもこのバンドにベーシストとして参加しました。1980年にデビュー・アルバム『ブリザード・オブ・オズ〜血塗られた英雄伝説』が発表され、デイズリーは演奏だけでなく、「アイ・ドント・ノウ」、「グッバイ・トゥ・ロマンス」、「クレイジー・トレイン」などの楽曲制作にも大きく貢献しました。しかし、1981年に2作目のアルバム『ダイアリー・オブ・ア・マッドマン』の制作に参加した後、アルバム発表前に解雇されてしまいます。

その後、デイズリーはカースレイクと共にユーライア・ヒープのアルバム『魔界再来』（1982年）と『ヘッド・ファースト』（1983年）の制作に参加し、楽曲制作にも関与。1983年にはオズボーンとの活動を再開し、同年5月29日の「US Festival」で、新ギタリストのジェイク・E・リーと共に725,000人の観衆を前に演奏しました。その後、アルバム『月に吠える』の制作に携わり、1985年には『罪と罰』の作詞にも関わっています。

ゲイリー・ムーアとのセッション・ワーク

オズボーンとの契約期間以外には、ゲイリー・ムーアとの活動も行っていました。アルバム『ヴィクティムズ・オブ・ザ・フューチャー』（1984年）のレコーディングに参加した後、ヨーロッパ・ツアーのバック・アップ・バンドに加入。ムーアとフィル・ライノットとのドキュメント・フィルム『エメラルド・アイルス』にも出演しました。その後、『ラン・フォー・カヴァー』（1985年）、『ワイルド・フロンティア』（1987年）のレコーディングとツアーに参加。アルバム『アフター・ザ・ウォー』（1989年）にも参加し、ムーアのキャリアの成功作となるブルース作品『スティル・ゴット・ザ・ブルーズ』（1990年）の礎を築き、次作『アフター・アワーズ』（1992年）の録音にも参加しています。ムーアとの信頼関係は続き、アルバム『パワー・オブ・ザ・ブルーズ』（2004年）にも作曲家とベーシストとして参加しました。

その他の活動とシャロン・オズボーンとの法廷闘争

1980年代末からは、ブラック・サバスのアルバム『エターナル・アイドル』（1987年）やイングヴェイ・マルムスティーンのレコーディングに参加するなど、様々なレコーディングに参加。元ナイト・レンジャーのジェフ・ワトソンのアルバム制作に関わったことを機に、ワトソン、カーマイン・アピス、ジョー・リン・ターナーとマザーズ・アーミーを結成しましたが、アルバム発表後にマネージメントのトラブルに巻き込まれ解散しました。

1988年にはオズボーンに依頼され、アルバム『ノー・レスト・フォー・ザ・ウィケッド』で作詞とベースを担当。1991年には再び彼とアルバム『ノー・モア・ティアーズ』を制作し、同作はアルバム・チャートでアメリカで7位、イギリスで10位と、これまでで最大のヒットとなりました。しかし、クレジットを巡り、オズボーンのマネージメントを手掛けるシャロン・オズボーンとの間で法廷闘争が発生しました。

1997年、シドニーに居を構えブルース・バンド、ザ・フーチー・クーチー・メンを結成。2002年にオズボーンのマネージメントが過去の作品を再発した際、デイズリーが演奏したベース・パートと作詞作曲のクレジットが削除されたため、2003年にリヴィング・ラウドを結成し、オズボーンとの活動中に作った曲を演奏しアルバムを制作。著作物権利の保護を主張しましたが、裁判は現在も係争中です。

ボブ・デイズリーは、その卓越した演奏技術とソングライティング能力で、ハードロック界に多大な貢献をしてきた、偉大なミュージシャンの一人です。

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