アフマド・ファナーカティー

アフマド・ファナーカティー

アフマド・ファナーカティー（Ahmad Fanākatī）は、13世紀にモンゴル帝国のカアン、クビライに仕えたイスラム教徒の財務官僚です。彼はその辣腕ぶりで知られましたが、強引な政策は多くの反感を買いました。

生涯

アフマドは、中央アジアのファナーカト（現在のウズベキスタン、バナーカト）で生まれました。彼はクビライの正夫人、チャブイの宮廷に仕え、その信任を得て頭角を現します。1262年には財務行政を任され、新都大都（現在の北京）を中心に税収を増やし、クビライ政権を財政的に支えました。

1270年には、財務行政機関の長官に就任し、財務行政部門の全権を掌握。南宋征服後は、江南の財務行政にも携わり、塩の専売制や商業税制度を整備しました。しかし、彼の税制度は従来の中国の税制から大きく逸脱しており、漢人からの評判は非常に悪かったとされています。

悪評と暗殺

アフマドの徴税方法は厳しく、西アジア的な徴税請負制度を用いたため、民衆の不満は募りました。また、彼の一族が行政に干渉したため、モンゴル貴族や漢人官僚との対立も深まります。1282年、アフマドは政敵の陰謀により暗殺されました。

死後の報い

アフマドの死後、クビライは当初、暗殺者を処刑しましたが、彼の生前の不正が次々と明らかになると、態度を一変させます。アフマドの一族は弾劾され、処刑。さらに、墓を暴き、遺体を犬に食わせるという、凄惨な報いを受けました。

評価

アフマドは、『元史』では「姦臣伝」に名を連ねられ、悪人として評価されています。しかし、ペルシアで編纂された歴史書『集史』では、クビライを支えた名宰相として高く評価されており、両極端な評価がなされています。

アフマド・ファナーカティーは、元朝の財政を支えた功績がある一方で、強引な手法で多くの民衆の恨みを買い、悲劇的な最期を遂げた人物として、歴史に名を残しています。

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