アブド・アッラフマーン2世

アブド・アッラフマーン2世（792年 - 852年）は、後ウマイヤ朝の第4代アミールとして、822年から852年まで在位しました。先代アミール、ハカム1世の子としてトレドで生まれ、その治世は国家の安定と発展に大きく貢献しました。

アブド・アッラフマーン2世は、アッバース朝を手本とした行政・財政機構の整備を推進し、国力の増強に努めました。これにより、後ウマイヤ朝の支配体制はより強固なものとなりました。また、当時フランク王国との国境地帯であったスペイン辺境領（現在のカタルーニャ地方）への遠征を行い、イスラーム勢力の維持を図りました。

彼の治世において特筆すべきは、ノルマン人（ヴァイキング）の侵入に対する防衛策です。844年には、ヴァイキングがカディスとセビリアを襲撃し、コルドバにまで迫る事態となりました。アブド・アッラフマーン2世は沿岸部の防衛を強化し、ヴァイキングの侵攻を撃退しました。これにより、アミールとしての権威を高め、領土を守り抜きました。

文化面における貢献も見逃せません。コルドバのメスキータ（現在のコルドバ大モスク）の礼拝室を拡張しました。当初、間口11スパン、奥行12スパンであった礼拝室を奥行方向に10スパン拡張し、より多くの信徒を収容できるようにしました。この拡張は、後のアブド・アッラフマーン3世、ハカム2世、ヒシャーム2世による更なる拡張の礎となりました。メスキータは、後ウマイヤ朝の文化的な繁栄を象徴する建造物として、現在もその壮麗な姿を伝えています。

アブド・アッラフマーン2世の治世は、政治、軍事、文化の各方面における功績により、後ウマイヤ朝の黄金時代を築く上で重要な役割を果たしました。彼の行った政策や事業は、後の世代にも大きな影響を与え、イベリア半島の歴史に深く刻まれています。

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