アベママ環礁

アベママ環礁：南太平洋に浮かぶ歴史と自然の宝庫

アベママ環礁は、ギルバート諸島に属するキリバスの環礁で、タラワの南東に位置します。その面積は約27平方キロメートル、人口は約3,257人（2020年）です。環礁の東部は土手道で結ばれ、車での移動が可能です。アベママは、その美しい自然だけでなく、歴史的にも重要な場所です。

地理

アベママ環礁は、狭い場所では50メートル、広い場所では2キロメートルにもなる細長い陸地で構成されています。主要な小島には11の村があり、人口の大部分がここに集中しています。西側のサンゴ礁にあるアバシク島や、その南東にあるビイケ島は、人口が少ない地域です。島内には、村を結ぶ土手道が整備され、移動が容易になっています。アベママ環礁は「G」の字のような形をしており、アバシク村とタビアン村の間、ビイケ村とケンナ村の間にはリーフロードがあります。島では、ココナッツ、タロイモ、パンダナス、パンノキなど、キリバスの重要な食用作物が栽培されています。

歴史

保護領以前

1765年にジョン・バイロンがギルバート諸島を発見し、西欧人による調査が始まりました。1799年には、チャールズ・ビショップ船長が作成した地図で、アベママはロジャー・シンプソン島として言及されました。1841年には、アメリカ合衆国探検遠征隊がアベママ環礁を調査しています。

19世紀半ばから後半にかけて、アベママでは一人の首長による統治が行われました。これは、カインガ（一家）が独自のリーダーを立てるギルバート諸島北部や、ウニマネ（長老）がマネアバ（集会所）に集まるギルバート諸島南部の統治形態とは異なります。アベママの首長一家は、テム・ビノカの時代にはクリア島とアラヌカ環礁も支配していました。作家のロバート・ルイス・スティーヴンソンも、1889年にアベママに滞在しています。

保護領時代

1890年ごろ、島民の多くはキリスト教徒でした。アベママ環礁には約700人の人口があり、ヤシの実と海産物を中心とした経済が営まれていました。1891年末にテム・ビノカ王が亡くなった後、息子のポールが王位を継承しました。1892年5月27日、アベママはイギリスの保護領となりました。ロバート・ルイス・スティーヴンソンの著書『In the South Seas』には、テム・ビノカ王のことが記されています。アベママ郵便局は1910年頃に開設されました。

第二次世界大戦

1941年12月9日、日本軍がギルバート諸島を占領しました。1943年11月21日には、アメリカ軍がアベママを攻撃し、激戦の末、日本軍を打ち破りました。この戦いの後、残った日本兵は自決したと伝えられています。

アベママへのアクセス

アベママ環礁空港は、アベママの北端、タビアン村の近くにあります。エアー・キリバスがタラワから週4便の国内線を運航しています（2021年9月現在）。島内には、島評議会ゲストハウス、シュバリエカレッジゲストハウス、プライベートロッジの3つのゲストハウスがあります。

教育

アベママには、シュヴァリエ学校やカウマ・アドベンティスト高校など、キリスト教系の高校があります。かつて存在したキング・ジョージ5世学校は、後に別の場所へ移転しました。

アベママ環礁は、その美しい自然と豊かな歴史を持つ、魅力的な島です。南太平洋の真珠として、訪れる人々を魅了し続けています。

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