アポロとヒュアキントゥス

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが1767年に作曲した『アポロとヒュアキントゥス』(Apollo et Hyacinthus) K. 38は、3幕からなるラテン語の詩劇です。これはモーツァルトにとって2番目の舞台作品であり、オペラ・セリアとしての性格を持っています。

概要

この作品は、ザルツブルク大学の教員であったルフィニス・ヴィドルがオウィディウスの『変身物語』を基に書いた劇に、当時11歳だったモーツァルトが作曲したものです。1767年5月13日にザルツブルク大学で学生によって初演されました。

原作には少年愛の要素が含まれていますが、ヴィドルはアポロンのヒュアキントスへの愛を、ヒュアキントゥスの妹であるメリアに置き換えることで、当時の社会的な批判を避けました。しかし、当時のザルツブルク大学には女子学生がいなかったため、メリアの役もボーイソプラノが歌いました。

リブレットがラテン語で書かれたオペラとしては、他にイーゴリ・ストラヴィンスキーの『エディプス王』があります。

リブレット

ルフィヌス・ヴィドル「アポローンとヒュアキントゥス」（原作：オウィディウス「変身物語」）

配役

オエバルス（テノール）：スパルタ王
メリア（ソプラノ）：オエバルスの娘
ヒュアキントゥス（ソプラノ）：オエバルスの息子
アポロ（アルト）
ゼピュルス（アルト）：ヒュアキントゥスの友人
アポロの第1司祭（バス）
アポロの第2司祭（バス）

あらすじ

第1幕

スパルタ王オエバルスとその息子ヒュアキントゥスは、客として迎えるアポロのためにいけにえを捧げます。しかし、ゼピュルスはいけにえを無駄だと中傷し、アポロを怒らせます。アポロは雷でいけにえの台を打ち壊し、ヒュアキントゥスへの愛を歌います。一方、ゼピュルスは友を奪われたことに嫉妬心を燃やします。

第2幕

ゼピュルスがオエバルスの元へやって来て、ヒュアキントゥスが円盤の打撃で致命傷を負い、その犯人はアポロだと告げます。オエバルスは衝撃を受け、ゼピュルスはメリアに結婚を迫ります。アポロが現れてゼピュルスを非難しますが、メリアは信じようとせず、アポロを激しく呪います。

第3幕

瀕死のヒュアキントゥスは、オエバルスにゼピュルスが自分を害した犯人であることを告げて息絶えます。オエバルスはゼピュルスに騙されていたことに激怒し、メリアもまた、真実を知らずにアポロを罵ったことを後悔します。ヒュアキントゥスの亡骸の前にアポロが現れ、彼の愛を高らかに歌い上げると、ヒュアキントゥスは花に生まれ変わります。この奇跡にメリアは神を讃え、アポロはメリアを許し、オエバルス王の許しを得て二人は結ばれます。

外部リンク

『アポロとヒュアキントゥス』（リブレット）
オペラ『アポロとヒュアキントス』K. 38の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト

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