アマルフィ 女神の報酬

アマルフィ 女神の報酬

『アマルフィ 女神の報酬』は、2009年7月18日に公開された日本映画です。フジテレビ開局50周年記念作品として製作され、全編イタリアロケを敢行した大作として話題になりました。映画のタイトルにもなっているアマルフィは、イタリア南部の美しい海岸沿いの町で、ロケ地としても使用されています。

概要

本作は、フジテレビが過去最高の製作費を投じた作品として知られています。当初は50億円の興行収入を見込んでいましたが、最終的には36.5億円に終わりました。主題歌にはサラ・ブライトマンの「Time to say goodbye」が起用され、彼女自身も劇中に登場しています。NTTドコモとの大規模なタイアップも展開されました。監督はフジテレビの演出家である西谷弘、原作は真保裕一が担当しました。

しかし、本作は脚本家クレジットが明示されなかったことで、日本シナリオ作家協会から抗議を受けるという異例の事態も発生しました。また、真保裕一による小説版『アマルフィ』が映画公開前に出版されましたが、これは映画のプロットを基に執筆されたもので、映画のノベライズではありません。映画と小説では、犯行動機や設定に違いがあります。

製作の背景

フジテレビの亀山千広は、50周年記念映画を製作するにあたり、オリジナルストーリーで展開することを決定しました。プロデューサーの大多亮は、監督の西谷弘に「観光映画として作ってほしい」と依頼したといいます。そのため、ストーリーよりも先に、主演の織田裕二とメインロケ地のアマルフィが決定しました。アマルフィは、大多プロデューサーが町の写真と伝承に魅力を感じたことがきっかけで選ばれました。その後、真保裕一が企画に参加し、ストーリーと脚本作りが始まりました。

撮影は、ローマ市内を中心に、世界遺産にも登録されているアマルフィやポジターノ、ラベッロなどで行われました。また、イタリア最古の映画スタジオであるチネチッタ・スタジオも使用されました。

あらすじ

2009年12月22日、外交官の黒田康作は、クリスマスシーズンで賑わうローマに赴任します。その前日、テロ予告を受け、大使館員として働くことになった黒田は、日本人少女誘拐事件に巻き込まれてしまいます。黒田は、少女の父親と偽って犯人と接触し、身代金取引に関わることになります。犯人グループは、ローマの観光地を取引場所に指定しますが、警察に通報したことがばれて失敗に終わります。その後、アマルフィで犯人の目星をつけた黒田ですが、誘拐事件と捜査は、犯人グループの真の目的のための計画の一部でした。真の目的は、7年前に起きた中近東国家での虐殺事件に対する復讐でした。

彼らは、日本政府の川越外務大臣を標的にしており、誘拐は日本大使館に侵入するための計画でした。黒田は、犯人のテロ計画を阻止するために日本大使館へ向かいます。

キャスト

織田裕二 - 黒田康作（駐イタリア日本大使館一等書記官）
天海祐希 - 矢上紗江子（娘を誘拐された旅行者、元看護師）
佐藤浩市 - 藤井昌樹（紗江子の知人、復讐に燃える男）
戸田恵梨香 - 安達香苗（駐イタリア日本大使館外交官補）
大塚寧々 - 羽場良美（駐イタリア日本大使館員）
伊藤淳史 - 谷本幹安（駐イタリア日本大使館員）
佐野史郎 - 西野道生（駐イタリア日本大使館参事官）
小野寺昭 - 菊原清文（駐イタリア特命全権大使）
平田満 - 川越亘（外務大臣）
大森絢音 - 矢上まどか（誘拐される紗江子の娘）
ロッコ・パパレオ - パルトリーニ（ローマ市警の警部）
サラ・ブライトマン - サラ・ブライトマン（本人役）
福山雅治 - 佐伯章悟（フリーライター、特別出演）
中井貴一 - 片岡博嗣（外務次官、声の出演）

スタッフ

監督：西谷弘
原作：真保裕一『アマルフィ』
主題歌：サラ・ブライトマン「Time To Say Goodbye」
製作：フジテレビジョン、東宝、電通、ポニーキャニオンなど
配給：東宝

脚本クレジット問題

本作では、脚本家のクレジットが明示されませんでした。脚本は、原作の真保裕一と監督の西谷弘が担当しましたが、真保が「小説家仲間に自分の脚本だと思われたくない」として、西谷も同様に辞退したため、クレジットがなくなりました。この問題に対し、日本シナリオ作家協会から抗議がありました。

撮影エピソード

アマルフィでの撮影は、アマルフィ海岸沿いの複数の町で行われました。アマルフィの街並みやポジターノの海岸、ラベッロの教会などが登場します。また、劇中では織田裕二が実際に車を運転するシーンもあります。

撮影では、監督がセリフの言い回しにこだわり、何度も撮り直しが行われました。また、戸田恵梨香がイタリア語を話すシーンはカットされるなど、様々なエピソードがありました。

評価

本作は、興行収入は目標に届かなかったものの、話題になりました。しかし、多くの映画評論家からは厳しい評価を受け、雑誌などでも酷評されました。特に、脚本の欠如やストーリー展開、演出などが批判されました。一方で、海外ロケによる美しい映像や、俳優陣の演技は評価されました。2009年の最低映画を決める賞では、最多3部門で選ばれてしまいました。

アマルフィ ビギンズ

NTTドコモの動画配信サービスで、映画公開中に無料配信された動画です。映画本編の前日譚が描かれており、黒田外交官がマカオでカジノ王と対決するストーリーです。DVDやブルーレイ版にも収録されています。

関連項目

外交保安局
領事館警察
在外公館警備対策官
在イタリア日本国大使館

外部リンク

公式ウェブサイト
allcinema
KINENOTE

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