アムラーン

アムラーンの概要

アムラーン（アラビア語: عمران）は、イエメン西部の中央部に位置する小規模な都市で、アムラーン県の県都でもあります。この地域はかつてサナア県の県都としても知られていました。市の中心からは、イエメンの首都サナアから北西に約52.9キロメートル（32.9マイル）離れたところにあり、2004年の国勢調査では人口が76,863人で、2012年の推計では90,792人に達していることが分かっています。

歴史と建築

アムラーンの歴史は、南アラビアの古代王国であるヒムヤル王国の時代にさかのぼります。サバア王国の時代には、町は発展し、城壁に囲まれた堅固な砦としての役割を果たしました。特に注目すべきは、19世紀半ばに発掘された一連の青銅板、「アムラーン・ラブレット」と総称される遺物で、これらはイギリスの大英博物館に収蔵されています。7世紀には、サバア人など複数の部族との衝突を器用に切り抜けた、軍事的な重要性を持った都市でした。かつての寺院や宮殿に設置された彫刻された石の遺物が、アムラーンの栄光の歴史を物語っています。また、町の西門近くで大きな石板の碑文が発見されており、地域の歴史的価値を証明しています。さらに、アムラーンにある旧市場（スーク）は、その特徴的な石柱で有名です。城壁は1720年に完成し、町を四方からしっかりと守っています。「段々畑」の形の景観は、農地周囲に設けられた石積みの壁によって、肥沃な土壌の流出を防ぐ役割を果たしています。

経済的発展

近年、アムラーンのサナアからの道路が中国の投資によって改良され、約200キロメートルにわたって近代化されました。また、古い医療センターの改修により小規模な公共病院へと変貌を遂げました。さらに、アムラーンは周囲の豊かな土壌を活かしてコーヒー栽培が盛んな地域でもあります。このように、アムラーンは過去の栄光を持ちながらも、経済的な発展を遂げる可能性を秘めています。

イエメン内戦

アムラーンは、イエメンの内戦の影響を大きく受けています。その始まりは1994年にさかのぼります。南北統一が実現するものの、軍の統合はうまくいかず、両部隊間の緊張が高まる結果となりました。その最初の衝突は、アムラーンの南北共同軍事基地で発生し、これを契機に1994年イエメン内戦が勃発します。

2014年には、フーシ派勢力がアムラーンを封鎖し、同年の7月には完全に制圧しました。その結果、2万人以上が避難を余儀なくされ、残った市民は物資不足に直面する苦しい状況となりました。このようなフーシ派の動きは、後の2015年のイエメン内戦を引き起こす重要な要因となりました。アムラーンは、歴史的な背景を持つ都市である一方、現在も内戦の影響から逃れることができない現実を抱えています。

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