アムールイトウ

アムールイトウ（タイメン）

アムールイトウ（学名：Hucho taimen）は、サケ科Hucho属に属する大型の淡水魚です。別名タイメンとも呼ばれ、その巨大な体躯から「幻の魚」として知られています。

分布

アムールイトウは、主にシベリアやモンゴルなどの河川に生息しています。具体的には、ヴォルガ川、ペチョラ川、エニセイ川、セレンガ川、レナ川、ヤナ川、そしてアムール川などが主な生息地です。これらの河川は、カスピ海、北極海、太平洋へとそれぞれ注ぎ込んでいます。

アムールイトウは、流れのある場所を好み、湖にはほとんど姿を現しません。河川の合流地点でよく見られ、回遊は行いませんが、繁殖期には広範囲を移動することが知られています。モンゴルのEg-Uur川で行われた標識調査によると、アムールイトウの行動圏は平均して23km、最大で93kmにも及ぶことが明らかになっています。

形態

アムールイトウの体色は、生息地域によって異なりますが、一般的には頭部が薄緑色で、尾部には赤褐色が混じることが多いです。脂鰭、臀鰭、尾鰭は暗赤色を帯びています。腹部は白から暗灰色です。

アムールイトウは非常に長寿であり、55年以上生きると考えられています。世界最大のサケ類の一つであり、成熟した個体は15kgから30kgにもなります。最大サイズは正確には不明ですが、ロシアのコトゥイ川では210cm、105kgの個体が記録されています。IGFA（国際ゲームフィッシュ協会）の世界記録は、45kg弱です。

食性

アムールイトウは、成体になると主に魚を捕食します。しかし、それだけでなく、水辺に近づいたネズミなどの齧歯類、蛇、鳥類なども捕食することがあります。つまり、アムールイトウは、比較的な何でも食べる肉食魚と言えるでしょう。

現状と保護

アムールイトウは、環境破壊や乱獲によって個体数が減少しており、絶滅の危機に瀕しています。そのため、現在では保護活動が行われています。アムールイトウの保護は、生息地の保全や漁獲規制などを通して行われています。貴重なアムールイトウを未来に残していくために、私たち一人ひとりが環境問題に関心を持ち、持続可能な社会の実現に向けて努力していくことが重要です。

その他

アムールイトウは、ドナウイトウの亜種として分類されることもあります。その場合、学名はHucho hucho taimenとなります。

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