ヤナ川

ヤナ川について

ヤナ川（ヤナがわ）は、ロシアのシベリア北東部に位置するサハ共和国を流れる重要な河川です。この川は、レナ川の東側、インディギルカ川の西側を通って北極海へ向かって流れています。ヤナ川では、毎年5月から6月にかけて氷が解け、10月には再び凍結します。その影響で、沿岸の町ベルホヤンスクでは年間の70日から110日にわたって川が完全に凍結し、流れが止まります。また、年間の220日間は、川の表面を氷が覆っている状態です。

地形と地理

ヤナ川は、ベルホヤンスク山脈に端を発する二つの河川、すなわちサルタン川とドゥルガラク川が合流することによって形成されます。この川は、その後、多くの支流を集めつつベルホヤンスク山脈とチェルスキー山脈の間の広大な平野を流れ、最終的には面積が約10,200平方キロメートルに及ぶ巨大な三角州を形成し、ラプテフ海のヤナ湾へ注ぎ込みます。

流域には、氷河が削った氷河湖や、北極海沿岸に広がる湿地に約4万の湖沼が存在しています。沿岸部は主に永久凍土で覆われており、上流域ではカラマツの森、北緯70度以北ではツンドラの風景が広がります。ただし広大なデルタ地帯では、微生物の生息環境のおかげで少しの樹木が育成しています。ヤナ川の主要な支流には、アディチャ川、オルジョ川、アビラビト川、ビタンタイ川などがあり、これらの川のほとんどはベルホヤンスク山脈を水源とする短い川です。

気候と特異性

ヤナ川流域は、ロシアで「寒極」と称されており、北半球で観測された最低気温のデータが存在します。この地域の冬季の平均気温はマイナス51度にも達し、1885年1月15日にはベルホヤンスクでマイナス67.8度という記録的な低温が記録されています。地元のヤクート人の間には、極寒の時期には喋った声すらも凍って届かず、春になると冬の間に凍りついた声が解かれて、数ヶ月前の会話が同時に聞こえるといった民話が伝わっています。

歴史と人々

ヤナ川の河口部における三角州では、3万年前に遡る居住の跡が発見されています。このため、ここは北極地域で見つかった最古の人間の遺跡とされています。河口部にはヤクート人が住み、また北極海沿岸平野にはユカギール人が住んでいましたが、17世紀以降ロシアによる支配を受けるようになりました。19世紀以降、多くの探検家が北極海沿岸地域の詳細を探求することで、この地域についての理解が深まりました。

このようにヤナ川は、独特の地理的特性や歴史を持っており、流域にはさまざまな自然と文化が共存しています。

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