アメストリス

アメストリスについて

アメストリス（Amēstris）は、紀元前5世紀に活躍したアケメネス朝の王、クセルクセス1世の妻であり、アルタクセルクセス1世の母でもあります。彼女の名前は、ギリシア語や古代ペルシア語など様々な形で記録されています。

名前の由来

彼女の名前は以下の形で残されています。ギリシア語のイオニア方言では「Άμηστρις（アメーストリス）」と呼ばれ、また別の形では「Άμαστρις（アマーストリス）」とも綴られています。古代ペルシア語では「Amāstrī-（アマーストリー）」として記録されており、この名前は「強き女性」という意味を持ちます。

家族と背景

アメストリスはオタネスという人物の娘で、彼は紀元前522年にアケメネス朝の王位を僭称した偽スメルディスを打倒した7人の貴族の一人として知られています。その後ダレイオス1世が王となり、オタネスは王家と婚姻関係を結びました。具体的には、ダレイオス1世がオタネスの娘と結婚し、オタネス自身もダレイオスの姉妹と結婚していました。この婚姻によって、アメストリスが誕生しました。

アメストリスは、ダレイオス1世が紀元前486年に死去した際、王太子であるクセルクセス1世と結婚していました。ここで、彼女の古代における評価はさまざまです。歴史家ヘロドトスによれば、アメストリスは残酷な独裁者として描写されています。

ヘロドトスによる評価

ヘロドトスの著作の中では、アメストリスが権力を持つ女性として描かれています。彼の記述によると、彼女は年齢を重ねてから、名門ペルシア人の子供14人を生き埋めにしたとされています。これは神に対する感謝の儀式とされているものの、同時にペルシアの文化において人身御供の習慣は一般的ではないことから、この話の信憑性には疑問が呈されています。古代の記録がギリシア側からのものであるため、その全てが事実とは限らないのです。

創作におけるアメストリス

アメストリスは、オペラやポップカルチャーにおいても取り上げられています。特に、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルが作曲したオペラ『セルセ』では、アメストリスが中心的なキャラクターとなっており、彼女の物語は強い感情を伴った愛憎劇として描かれています。このオペラでは、アメストリスは当初はクセルクセスの妻として期待されていましたが、彼が他の女性に心を寄せることになります。彼女は男装をし、クセルクセスの近くにいることで何とか彼を引き留めようとします。物語のクライマックスでは、後悔するクセルクセスが彼女に再度愛を問いかけるシーンがあります。

また、アメストリスの名は、マンガ・アニメ作品『鋼の錬金術師』においても国名として表現され、さらなる普及を見ています。この作品では、彼女に由来する地域や都市についても言及され、物語の背景に大きな影響を与えています。

結論

アメストリスという女性は、古代アケメネス朝における重要な人物であり、彼女の物語は後世にわたってさまざまな形で語り継がれています。彼女の動機や行動については、歴史や文化の視点から多くの議論を呼ぶことでしょう。

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