ダレイオス1世

ダレイオス1世の概要

ダレイオス1世（紀元前550年頃 - 紀元前486年）はアケメネス朝ペルシアの王であり、一般的にはキュロス2世の後の第3代王とされていますが、彼自身は第9代王を名乗りました。在位中は数々の反乱を鎮圧し、広大な領土を統治しました。ダレイオス1世は自己の出自や即位、反乱の鎮圧などの業績を謳ったベヒストゥン碑文を残しており、この碑文は楔形文字と古代ペルシア語の解読にとって重要な資料とされています。

出自と王位の簒奪

ダレイオス1世はヒュルカニアとパルティアのサトラップの子供として生まれました。彼はカンビュセス2世の時代に槍持ちとして宮廷に仕え、王に近い立場にありました。しかし、カンビュセス2世が死去すると、彼の弟であるスメルディスが王位を簒奪しました。これに対抗したのがマゴス僧・ガウマータで、彼は偽スメルディスを名乗りました。

ダレイオス1世はガウマータを排除するため、他の王族と共に同盟を結び、最終的には彼を打倒しました。この過程で、馬丁オイバレスの計略により、最初に馬をいななかせたダレイオス1世が王に選ばれました。

治世の特徴

王位に就いたダレイオス1世は、内部の安定を図るため反乱を次々と鎮圧しました。彼の治世においては、中国地方からエジプト、トラキアまでの広大な領土の統治が行われ、多数の反乱に立ち向かいました。彼はエラムやバビロニア、メディアなどの反乱を迅速に制圧し、その後、内政改革にも着手しました。彼は中央集権的な政府を築き、各地にサトラップ（総督）を置きながら、その動向を「王の目」、「王の耳」と呼ばれる官僚によって監視させました。

また、彼はペルセポリスの建設を始め、王の道と呼ばれる道を整備することで、帝国全体の交通の便を向上させました。この道路網は2400キロメートルに及び、主要都市間の迅速な移動を可能にしました。加えて、独自の貨幣制度を整えることで経済を活性化させ、さまざまな民族を統治するための法律を定めました。

対外遠征

ダレイオス1世はスキタイとインダス地域への遠征を行い、領土を拡大しました。スキタイ遠征ではトラキアの各部族を征服し、最終的にはスキタイ人の戦術により撤退を余儀なくされたものの、これがのちのギリシア遠征への準備ともなりました。一方で、インダス地方に対しても軍を派遣し、ダレイオス1世の統治下に取り込んだことが記録されています。このインダス地域は後にアケメネス朝の中で最も重要な経済地域となり、多大な税収をもたらしました。

イオニアの反乱とペルシア戦争

ダレイオスの治世の中で、最も著名な出来事はイオニアの反乱です。彼は、かつてスキタイとも関わりのあったギリシア人の自治を認めつつ、反乱を抑圧しましたが、紀元前499年にイオニアの都市が反乱を起こし、その後アテナイとエレトリアが軍事支援に関与しました。この戦争は後のペルシア戦争へと発展することになります。

紀元前492年にはアテナイに対する懲罰遠征を計画するものの、天候の影響で失敗し、紀元前490年にはマラトンの戦いでアテナイ軍に敗北します。この敗北はダレイオス1世にとって大きな打撃であり、その後の戦争への影響は計り知れません。

崩御とその後

ダレイオス1世は、484年に急死しました。彼の死によって、後継者としてクセルクセス1世が選ばれることとなり、その後のギリシアとの衝突へとつながっていきます。ダレイオス1世の治世は、彼がペルシア帝国の基盤を確立したことにより、強力な中央政府と広域の統治システムを築いた重要な時代とされています。彼の業績は後世に大きな影響を与え、彼の名はアケメネス朝の象徴として語り継がれています。

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