アメリカナマズ

アメリカナマズ（チャネルキャットフィッシュ）の詳細解説

アメリカナマズ（学名：Ictalurus punctatus）は、条鰭綱ナマズ目アメリカナマズ科に属する魚類で、チャネルキャットフィッシュとも呼ばれます。その名の通り、北米原産ですが、世界各地に移入され、特に日本では生態系への影響が問題視されています。

分布

アメリカナマズは、原産地であるアメリカ合衆国、カナダ、メキシコ北部に自然分布しています。しかし、養殖や釣り目的での導入、あるいは偶発的な逸出によって、世界中に分布を広げています。特にアメリカ合衆国内では広く移入されており、キプロス、スペイン、チェコ、マレーシア、ルーマニアなどでも生息が確認されています。

日本では、1970年代に食用目的で導入された後、霞ヶ浦・北浦・利根川水系を中心に分布を拡大しています。阿武隈川水系、宮川水系、矢作川水系などでも生息が確認されており、琵琶湖やその下流の瀬田川でも捕獲例があります。

形態

アメリカナマズは、最大全長132cmに達する大型のナマズです。体色は灰色から褐色で、体表には黒い斑点があることが特徴です（種小名punctatusは「斑点のある」を意味します）。口ひげは8本あり、ヒレには鋭い棘があります。

生態

アメリカナマズは雑食性で、魚類、ヘビ類、カエル類、昆虫、巻貝、水生植物、藻類など、様々なものを食べます。時には鳥類を捕食することもあります。北浦沿岸部での調査では、小型魚類、大型魚類の断片、甲殻類、水生昆虫、陸生昆虫、貝類、植物、藻類など、非常に幅広い食性が確認されています。また、死骸なども積極的に摂食します。この食性の幅広さが、アメリカナマズの適応力の高さを示す要因の一つです。

北浦沿岸部では、アシ原に多く生息しており、夜間にはアシ原内で活発に採食を行うことが報告されています。水深30cm程度の浅い場所も生息域に含まれていると考えられます。

人間との関係

利用

アメリカナマズは、食用として利用されるほか、ルアー釣りの対象魚としても人気があります。また、魚粉として、畜産飼料や養殖飼料、有機肥料としても利用されています。外来魚駆除の取り組みの一環として、地域産品として有効活用されるケースもあります。

ただし、日本では水産庁のガイドラインにより、「シミズダイ」や「カワフグ」といった名称は使用しないように定められています。これは、消費者がアメリカナマズを高級魚と誤認することを防ぐためです。

生態系への影響

アメリカナマズは、養殖池や釣り場からの逸出によって野生化し、生態系に悪影響を与えています。アメリカ国内でも、在来の魚類への悪影響が報告されています。ドイツやニュージーランドでは、本種の持ち込みが禁止されています。

日本では、利根川水系では1982年の台風で養殖個体が流出したことが、霞ヶ浦では同時期に同様の流出が原因であると推定されています。阿武隈川水系では、釣り池に放流された個体が逸出したと考えられています。宮川水系では、養殖されていた個体が逃げ出したとされています。矢作川水系では、釣り用に放流された可能性が示唆されています。

霞ヶ浦などでは、甲殻類やハゼ類を捕食することで漁獲量が減少し、生態系への影響が懸念されています。また、本種が優占種となることで漁業効率が低下したり、定置網で混獲された際に他の漁獲物を食害したり、鰭の棘で漁師が怪我をするといった被害も報告されています。利根川水系下流域では、アメリカナマズばかりが漁獲されることで、ニホンウナギなど本来の漁獲対象が獲れなくなるという問題も起きています。

特定外来生物

日本では、2005年4月にチャネルキャットフィッシュとして特定外来生物に指定され、飼育や移動が規制されています。これは、アメリカナマズが日本の生態系に深刻な影響を与える可能性があると判断されたためです。

その他

アメリカナマズに関するその他の情報として、以下のようなものがあります。

アメリカナマズウイルス病: アメリカナマズに感染するウイルス性の病気です。
河ふぐ: 岐阜県では、ナマズ、特にアメリカナマズのことを指すことがあります。
* 行方バーガー: アメリカナマズの肉を使用したご当地グルメです。

まとめ

アメリカナマズは、その適応能力の高さから、世界各地で分布を拡大している魚です。日本では、生態系への影響が懸念され、特定外来生物に指定されています。その食性、繁殖、分布の状況を理解し、適切な対策を講じることが重要です。

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