魚粉

魚粉とは

魚粉（ぎょふん）は、魚を乾燥させて粉状にしたものです。フィッシュミールとも呼ばれ、日本では魚粕（ぎょかす、うおかす、ぎょはく）という名称も使われています。主な用途は、家畜や養殖魚の飼料、有機肥料ですが、近年では食用としての利用も注目されています。

製造方法

魚粉は、まず魚を窯で煮てから圧搾機で油と水を分離します。その後、乾燥させて粉末状に加工します。原料となる魚の種類によって、白身魚を原料としたホワイトミールと、赤身魚を原料としたブラウンミールに分けられます。どちらもタンパク質などの栄養分が豊富です。魚粉を製造する際に分離された油は、魚油として利用されます。

世界の動向

世界的に見ると、魚粉は主に畜産飼料として利用されています。2012年の世界水産漁獲量の14%が非食用に利用され、そのうち75%が魚粉として加工されたというデータがあります。日本は、チリやペルーなどから魚粉を輸入しており、養魚飼料や畜産（養鶏・養豚など）飼料として利用しています。

原料

魚粉の原料となる魚は、世界的にはイワシ（アンチョビ）が多いですが、日本ではスケトウダラ、サンマ、ニシンなどが使用されます。また、カツオ節や魚肉練り製品などの水産加工品の製造過程で出る副産物や加工残滓、売れ残りや規格外の小型魚も利用されます。近年では、外来魚駆除で捕獲されたアメリカナマズ、ブルーギル、ブラックバス、ハクレンなどの外来魚を原料とする動きもあり、地域産の畜産用配合飼料としての利用も進められています。ただし、配合量によっては家畜の嗜好性が低下し、体重増加の遅れが生じる可能性も指摘されています。農業用肥料としての利用実験も行われています。

用途

肥料

魚粉は、古くから肥料として利用されてきました。江戸時代の日本では、干鰯や鰊粕が金肥（購入して使う肥料）として流通していました。

飼料

飼料としては、畜産や養鶏飼料から始まり、近年では魚類の養殖飼料としても広く利用されるようになっています。

食用

食用としては、カルシウムやタンパク質を豊富に含むことから、ダシをはじめとした食材として利用されています。健康志向の高まりとともに、魚粉を新たな食材として活用する動きも出てきています。

近年の動向

牛海綿状脳症（BSE）問題以降、家畜のタンパク質源として肉骨粉が敬遠されるようになり、代わりに魚粉の需要が増加しました。しかし、原料となるイワシの漁獲量が減少した影響もあり、魚粉の価格は高騰する傾向にあります。

まとめ

魚粉は、飼料、肥料、食用と多岐にわたる用途を持つ、重要な資源です。その製造方法や原料、歴史、そして近年の動向を理解することで、魚粉の重要性をより深く認識することができます。

参考文献

世界漁業・養殖業白書 2014年

関連項目

鰹節
* 肉骨粉

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