アメリカムシクイ科

アメリカムシクイ科 (Parulidae)

アメリカムシクイ科は、鳥類分類におけるスズメ目のグループで、学名を Parulidae といいます。これらの鳥は総称して「アメリカムシクイ」と呼ばれ、その名の通り、生息地は南北アメリカ大陸に限られています。かつて、旧大陸に分布するウグイス上科のムシクイ類と生態や形態が類似することから混同されることもありましたが、系統的には遠縁であることが明らかになっています。

特徴

本科に属する鳥類は、比較的小型で、全長はおおよそ11センチメートルから18センチメートルです。多くの場合、黄色、橙色、緑色といった暖色系や、白黒のパターンなど、目を見張るような鮮やかな羽色を持っています。この特徴は、旧大陸の地味な色彩のムシクイ類とは対照的です。

生息環境は多岐にわたり、鬱蒼とした森林、開けた草原、低木が茂る地域など、多様な環境に適応して暮らしています。食性については、ほとんどの種が主に昆虫食で、枝葉や草の上で昆虫を探し出して捕食しますが、一部の種では種子や果実も食べます。

形態上の明確な相違点として、翼の風切羽のうち、最も外側にある初列風切羽の数が挙げられます。旧大陸のムシクイ類は通常10枚の初列風切羽を持つのに対し、アメリカムシクイ科の鳥類は9枚です。

分類と系統

アメリカムシクイ科は、9枚の初列風切羽を持つことで識別されるスズメ目の大きなグループ、「nine-primaried oscines」の一員です。このグループ内では、ムクドリモドキ科やホオジロ科といった他の科と近縁な関係にあることが示されています。

分類学的な位置づけは時代によって変動してきました。過去には、フウキンチョウ科やホオジロ科の亜科、あるいは族として扱われたこともあります。また、伝統的にアメリカムシクイ科に含められていたオリーブアメリカムシクイは、現在では系統的な違いから独立したオリーブアメリカムシクイ科として分離されています。

分子系統解析の進展により、アメリカムシクイ科の定義にも変化が見られます。伝統的な定義での「広義のアメリカムシクイ科」は、必ずしも単系統群ではないことが明らかになり、その中にはフウキンチョウ科や他の科に再分類されるべき属が含まれていることが判明しました。現在の国際鳥類学会議（IOC）などの分類体系では、系統的に強く支持されている狭義のグループを「アメリカムシクイ科（core Parulidae）」としています。この狭義の科には、例えば以下のような多様な属が含まれます。

カマドムシクイ属 (Seiurus)
ハゴロモムシクイ属 (Setophaga)
ナンベイアメリカムシクイ属 (Basileuterus)
ベニイタダキアメリカムシクイ属 (Myioborus)
アカガオアメリカムシクイ属 (Cardellina*)

一方で、広義のアメリカムシクイ科に含められていたものの、系統的にcore Parulidaeから外れた属（ズアカサザイ属、オオアメリカムシクイ属、キューバムシクイ属など）は、現在の分類では科未定（incertae sedis）とされたり、他の科（多くはフウキンチョウ科）に移されたりしています。これらの属の最終的な位置づけについては、まだ議論が続いている状況です。

アメリカムシクイ科は、南北アメリカにおけるスズメ目の多様化の一例であり、特に鮮やかな色彩と、森林から草原まで幅広い環境に適応した生態が特徴です。

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