ウグイス上科

ウグイス上科（Sylvioidea）とは

ウグイス上科は、スズメ目に属する鳥類のグループであり、その分類は長年にわたり研究されてきました。初期にはヒタキ科から旧世界ムシクイ類を分離する形で提唱され、その後、分子系統学的研究の進展により、その構成は大きく変化しました。

歴史的背景

1953年、Beecherによって、ヒタキ科から旧世界ムシクイ類を分離し、ウグイス上科が提唱されました。その後、1990年にはSibley & Ahlquistが、スズメ小目をウグイス上科、ヒタキ上科、スズメ上科の3つに分類し、現在のウグイス上科の原型が示されました。

しかし、この分類は単系統性が疑わしく、キノボリ上科やシジュウカラ上科が分離されるなど、多くの変更が加えられました。また、スズメ上科からヒバリ科が、カラス上科からヒメヒタキ属が移されるなど、科や属レベルでの変更も行われました。この記事では、最新の研究に基づいたウグイス上科の分類について解説します。

系統と分類

ウグイス上科の系統は、Johansson et al. (2008)やGelang et al. (2009)の研究に基づいており、国際鳥類学会議（IOC）が示す科の分類を参考にしています。

以下に、ウグイス上科に属する科とその系統関係を示します。cladeは、Johansson et al. (2008)による系統名です。科の並び順は、おおむねIOCの分類に基づいています。

clade B
ヒゲガラ科 Panuridae
clade A
ヒバリ科 Alaudidae
clade C
ムシクイヒヨ科 Nicatoridae
clade D
ハシナガムシクイ科 Macrosphenidae (旧 Sphenoeacus group)
clade E
セッカ科 Cisticolidae
clade G
ツバメ科 Hirundinidae
clade -
ヒメサザイチメドリ科 Pnoepygidae
clade H
ヨシキリ科 Acrocephalidae
センニュウ科 Locustellidae (オオセッカ科 Megaluridae)
ミズベマネシツグミ科 Donacobiidae
テトラカヒヨドリ科 Bernieridae
clade F
ヒヨドリ科 Pycnonotidae
clade I
ウグイス科 Cettiidae (Cettidae)
エナガ科 Aegithalidae
メボソムシクイ科 Phylloscopidae
アカガシラチメドリ科 Timaliidae (チメドリ科 Timaliidae アカガシラチメドリ亜科 Timaliinae)
チメドリ科 Pellorneidae (チメドリ科 Timaliidae チメドリ亜科 Pellorneinae)
ガビチョウ科 Leiothrichidae (チメドリ科 Timaliidae ガビチョウ亜科 Leiothrichinae)
メジロ科 Zosteropidae (チメドリ科 Timaliidae メジロ亜科 Zosteropinae)
ダルマエナガ科 Sylviidae (ダルマエナガ科 Paradoxornithidae を含む)

各科の特徴

ウグイス上科に属する科は、それぞれ独自の特徴を持っています。

ヒゲガラ科：湿地やヨシ原に生息し、細長い尾と独特のさえずりが特徴です。
ヒバリ科：開けた場所に生息し、空中でさえずる習性があります。
ムシクイヒヨ科：アフリカに生息し、他の鳥の鳴き真似をする種類がいます。
ハシナガムシクイ科：アフリカやアジアに生息し、長い尾とくちばしが特徴です。
セッカ科：草地や湿地に生息し、地味な色彩をしています。
ツバメ科：空中を飛翔し、昆虫を捕食します。
ヒメサザイチメドリ科：森林に生息し、地味な色をしています。
ヨシキリ科：ヨシ原に生息し、よく響く声でさえずります。
センニュウ科：草地に生息し、地中で生活するものが多いです。
ミズベマネシツグミ科：南米に生息し、水辺に多いです。
テトラカヒヨドリ科：マダガスカルに生息し、固有種が多いです。
ヒヨドリ科：様々な環境に適応し、果実や昆虫を食べます。
ウグイス科：藪に生息し、美しい声でさえずります。
エナガ科：森林に生息し、集団で生活する種類が多いです。
メボソムシクイ科：森林に生息し、小さな昆虫を食べます。
チメドリ科：森林に生息し、様々な鳴き声でコミュニケーションをとります。
ガビチョウ科：森林に生息し、美しい鳴き声が特徴的です。
メジロ科：森林や庭に生息し、花蜜や昆虫を食べます。
* ダルマエナガ科：竹林などに生息し、独特な形態をしています。

まとめ

ウグイス上科は、多様な鳥類を含むグループであり、その分類は分子系統学的研究によって常に更新されています。この記事では、最新の分類に基づいて、ウグイス上科の系統と各科の特徴を解説しました。今後も研究が進むことで、このグループの理解がさらに深まることが期待されます。

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