アメリカンボス

アメリカンボス(American Boss)は、1995年4月7日生まれの競走馬です。日本の競馬界で活躍し、数々の重賞競走を制覇した名馬として知られています。

競走馬時代、アメリカンボスは芝とダート両方のレースに出走していましたが、1999年頃から芝レースに専念するようになりました。1999年のエプソムカップでは、11番人気という低評価を覆し、見事優勝を果たしました。この勝利は、アメリカンボスにとって最初の重賞タイトル獲得となりました。その後も数多くのレースに出走し、特に道悪馬場を得意としていました。江田照男騎手はアメリカンボスについて「道悪は本当にうまい」と評しており、その高い適性を示しています。

2000年には、エプソムカップを連覇。荒れた馬場の中、最内を突き進む見事なレース運びで勝利を掴みました。2001年には、アメリカジョッキークラブカップと中山記念を制覇し、重賞タイトルをさらに増やしました。田子調教師はアメリカンボスの成長を認め、GI競走への本格参戦を表明しました。

そして迎えた2001年の有馬記念。アメリカンボスは出走馬中最下人気の13番人気という低評価でしたが、2着に入線しました。この結果は、大きな波乱を巻き起こし、配当金記録を更新するほどの衝撃を与えました。1着のマンハッタンカフェとの組み合わせは、当時発生したアメリカ同時多発テロ事件を連想させ、「テロ馬券」と呼ばれ、大きな話題となりました。

アメリカンボスの適性距離は1800mから2200m前後と評価されていましたが、輸送競馬に弱かったため、関西圏での出走はほとんどありませんでした。そのため、宝塚記念や天皇賞（秋）には出走できませんでした。しかし、江田照男騎手はアメリカンボスへの騎乗を続け、41レース全てに騎乗するという強い信頼関係を築きました。2001年の中山記念当日には、江田騎手の手腕が光る別のGI馬ダイタクヤマトも出走していましたが、江田騎手は「いつもお世話になっているから」という理由でアメリカンボスを選びました。

競走馬を引退したアメリカンボスは、2003年から種牡馬となりました。日高軽種馬農協門別種馬場で種牡馬生活を始め、初年度は45頭の牝馬に種付けを行いました。その後、太平洋ナショナルスタッドに移籍しました。2018年6月に23歳で死亡したとされていますが、公式記録上は2020年10月1日付で用途変更により供用停止となっています。死亡と供用停止の申告のタイムラグ、そして死亡ではなく用途変更とされた理由については、詳細は不明です。

種牡馬としても成功を収め、産駒は中央競馬と地方競馬で活躍しました。2006年には、産駒のロイヤルボスが川崎競馬場の新馬戦を制し、中央・地方を通じての初勝利を挙げました。同年には、ロイヤルボスがハイセイコー記念を制し、産駒の重賞初勝利も記録しました。2021年には、アメリカンボスの産駒であるキーパンチが新潟競馬場での障害レースで初勝利を挙げました。この勝利は、熊沢重文騎手の障害競走最多勝記録更新にも貢献しました。

アメリカンボスは、競走馬として、そして種牡馬として、日本の競馬界に大きな足跡を残しました。その活躍は、多くの競馬ファンに感動と興奮を与え続け、今も語り継がれています。アメリカンボスの血統には、さきたま杯と兵庫ゴールドトロフィーを制したゲイリーイグリットなどの名馬も含まれています。半妹のフリーフォーギブンからは、エーデルワイス賞などを制したアンペアが誕生しています。アメリカンボスの功績は、日本の競馬史に刻まれた輝かしいものと言えるでしょう。

もう一度検索