アメリカン・ソルジャー

映画『アメリカン・ソルジャー』の概要

『アメリカン・ソルジャー』（原題: Thank You for Your Service）は、2017年にアメリカで公開されたドラマ映画です。この作品は映画監督のジェイソン・ホールが手掛ける初の監督作であり、ノンフィクション著作『帰還兵はなぜ自殺するのか』を基にしています。主演を務めるのはマイルズ・テラーとヘイリー・ベネットであり、イラク従軍後の帰還兵の心の葛藤を描くストーリーが展開されます。

本作は、日本では劇場公開されなかったものの、2018年にDVDとして発売され、多くの人々にそのテーマやメッセージが広がりました。映画は、戦争から帰還した兵士たちが精神的なトラウマと闘う姿をリアルに描写します。

ストーリー

物語は、イラクでの15ヶ月にわたる従軍生活を終えたアダム・シューマンが、故郷のカンザス州に戻るところから始まります。彼は妻のサスキアと2人の子どもたちによって温かく迎えられるものの、心の中には深い闇が渦巻いています。アダムは帰国後、睡眠障害やフラッシュバックに悩まされ、PTSDの疑いが持たれるようになります。

サスキアの助言により、アダムは退役軍人省に助けを求めることを決意します。しかし、窓口は多くの退役軍人で混雑しており、彼の苦しみを理解してもらうのは容易ではありません。そんな中、アダムの従軍仲間から悲しい知らせが届きます。友人ビリー・ウォーラーが自殺したのです。ウォーラーはイラク出発前、恋人ベルと結婚の約束をしていましたが、長い従軍生活が彼の心を蝕んでいきました。

アダムは自分の心の傷に向き合う一方で、そのトラウマが仲間のマイケル・エモリーの救出失敗に起因していることを理解します。エモリーは半身不随になったものの、アダムに感謝しています。しかし、アダム自身は救えなかったという思いから逃れられずにいます。さらに、トーソロという仲間もPTSDに悩まされており、記憶の一部を失ってしまう事態に。彼は再度イラクに派遣されることを熱望しますが、その願望は実現しません。結局、失意のトーソロは麻薬密売のグループに身を投じる決断をしてしまいます。

キャスト

本作の主要なキャストには様々な俳優が名を連ねており、重要な役柄を演じています。アダム・シューマンを演じたのはマイルズ・テラーであり、彼の妻サスキア役にはヘイリー・ベネットが起用されました。また、トーソロ役にはビューラ・コアレ、ビリー・ウォーラー役にはジョー・コールがキャスティングされています。このように、多様なキャストが本作の深いテーマを支持する力強い演技を披露しています。

制作背景

映画の制作は2013年に始まり、ドリームワークスが映画化権を取得しました。そこでスティーヴン・スピルバーグが監督に予定されていましたが、後にジェイソン・ホールがこの役割を引き受けました。主要撮影は2016年にジョージア州アトランタで行われ、映画は2017年10月にハートランド映画祭で正式にプレミアを迎えました。その後、特別なプロモーションとして、退役軍人や現役兵士への無料鑑賞券の配布が行われました。

評価と興行成績

『アメリカン・ソルジャー』は公開後、批評家から高い評価を得ました。映画批評集積サイト・Rotten Tomatoesでは批評家支持率77%、平均点6.7点という結果です。また、Metacriticにおいては加重平均値68/100を記録しています。一方で、興行面では、公開初週末に381万ドルを稼ぎ出し、ランキングでは6位スタートとなりましたが、期待されたよりも若干の低調なスタートとなりました。

最後に、本作は兵士が戦争から受ける精神的な影響に重要な視点を提供し、観客に戦争の裏にある重たいテーマを考えさせる作品となっています。

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