アメリカン・レコード・カンパニー

アメリカン・レコード・カンパニー（通称ARCo）は、1904年から1906年の短期間にわたって活動したアメリカのレコードレーベルです。その創業者は元々自転車製造業を営んでいたエルスワース・A・ホーソンとホレス・シーブルで、彼らはエジソン・レコードのための装飾部品を手がけた経験を持ちます。この二人は、フィラデルフィアを拠点に、1890年代には茶色い蝋管の制作にも関与していました。

創業時、ホーソンとシーブルはジョン・O・プレスコットと共にパートナーシップを組み、新たな会社を立ち上げました。会社はマサチューセッツ州スプリングフィールドに拠点を置きながら、コネチカット州ブリッジポートやフィラデルフィアにも工場を構え、録音はニューヨークで行われました。ARCoは主に片面録音の青い音盤を製造し、その後両面録音の通常の黒いシェラック盤も生産するようになりました。

ロゴとデザイン

ARCoのレコードラベルには特徴的なロゴが描かれています。それは、たばこのパイプを持つインディアンがフロント・マウント式の蓄音機に耳を傾けているイラストです。このレコードは「インディアン・レコード」として広く宣伝され、多様なデザインバージョンが存在しました。大部分のレコードは片面録音であり、両面録音の場合には各面の曲の組み合わせはランダムでした。ユニークなのは、レコードが青色で、これは「エンペダイト」と呼ばれる材料から作られており、良質な音色が特長とされています。

また、レコードには「030000」から始まる通し番号が付与され、最大の番号は「031435」でした。音盤のサイズは、7インチ、10インチ、10.5インチという規格がありました。特に10.5インチ盤はオデオンとの関係から生まれたものとされています。さらに、一部イギリス向けのレコードには「アメリカン・オデオン・レコード」というロゴが使用されていました。

その歴史的意義

アメリカン・レコード・カンパニーは、20世紀初頭に活動していた数多くのレコード会社の中でも特に、従来の特許を無視する姿勢がありました。そのため、同社はサウンドの歴史において特筆すべき貢献をしました。特に最初期のハワイアン音楽の録音を保存しており、ジュライ・パカ率いるロイヤル・ハワイアン・トルバドールズというバンドが参加したレコードも残っています。

このレーベルは、レジメンタル・バンド・オブ・ザ・リパブリックと呼ばれる自社のバンドによるインストルメンタル楽曲のほか、歌手の伴奏も手がけていました。残された音源の多くは、すでに他の有名なレーベルで録音された楽曲が多く、演奏者の名前が明確に記載されていないものもありました。しかし、コレクターにとっては、その音源は非常に価値が高いとされ、特にアメリカン・レコード・カンパニーの音源は、その後のレーベルで発表された作品よりも注目されています。

所属アーティストたち

ARCoからは、多くの著名アーティストがレコードをリリースしています。ヘンリー・バーやアーサー・コリンズ、ビリー・ゴールデンなど多彩なアーティストたちがこのレーベルに名を連ねました。これらのアーティストは、幅広いジャンルの音楽を提供し、現代においても記憶されています。

アメリカン・レコード・カンパニーはその短い活動期間にもかかわらず、音楽史に残る重要な足跡を残したレコードレーベルであり、今なお関心を持たれています。彼らの製品は、音楽愛好家だけでなく、研究者にとっても貴重な資料となっています。

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