アメリカ南方軍

アメリカ南方軍について

アメリカ南方軍（SOUTHCOM）は、アメリカ軍の地域別統合軍として、中南米と西インド諸島を主管しています。その司令部はフロリダ州のマイアミに位置しており、約1,200名の人員が所属しています。南方軍は多岐にわたる構成を持ち、主には南方陸軍（USARSO）、南方海軍（USNAVSO）、南方空軍（USAFSOUTH）、そして南方海兵隊（USMARFORSOUTH）から成り立っています。さらに、グアンタナモ統合任務部隊（JTF-GTMO）やブラボー統合任務部隊（JTF-B）もこの組織の一部に含まれています。

南方軍は、実際の指令をフロリダ州のマイアミの司令部から出すだけでなく、プエルトリコのサンフアンにあるフォート・ブキャナンや、ホンジュラスのソト・カノに設置されたフォート・ブラボなどの前方司令所からも行います。これに加え、エルサルバドルのコマラパ、アルバ、そしてキュラソー島に所在する前線作戦司令室も活用されています。

歴史的背景

アメリカ軍がこの地域に進出を果たしたのは、1898年の米西戦争を契機とし、その後1903年にはパナマの独立に至りました。これによりアメリカの海兵隊が活動を開始し、パナマ運河地帯が軍の駐留地として利用されました。第二次世界大戦中にも、この地域にはアメリカ軍の防衛兵力が駐留していました。

南方軍の前身となるカリブ軍団は1947年11月1日に設立され、中南米を担当地域としていましたが、1963年に現在の南方軍へと改称され、地域の実情に即した組織へと進化しました。特に南方陸軍はパナマ運河地帯に駐屯し、パナマへの侵攻にも参加。その後、運河地帯が1997年にパナマに返還されるのに伴って、南方軍も司令部をマイアミに移転しました。

現在の活動

南方軍は麻薬取締りにおいても重要な役割を果たしています。麻薬密輸の監視を行い、米国への密輸ルートを抑えるために航空機や船舶を活用します。連邦政府からの約1%の対麻薬予算を受け取ることで、これらの活動を支援しています。加えて、南方軍は自然災害にも対応しており、2005年から2010年にかけて14回の救援活動を行っています。特に2010年のハイチ地震では、約2万人の救援部隊が派遣され、アメリカ軍による救援活動の中心となりました。

2023年現在、南方軍の司令官はローラ・J・リチャードソン陸軍大将であり、彼女は2021年10月29日からその職に就いています。南方軍は、この地域の安全保障や災害支援、麻薬対策など多方面にわたる活動を続け、アメリカ合衆国の国益に貢献しています。

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