アメリカ合衆国のワイン

アメリカ合衆国は、フランス、イタリア、スペインに次ぐ世界第4位のワイン生産国として知られています。その生産量の大部分はカリフォルニア州が占めていますが、ワシントン州、ニューヨーク州、オレゴン州などでも、高品質なワインが少量ながら生産されています。

主要産地

特にサンフランシスコを中心とする北部太平洋沿岸地域は、ヨーロッパの著名なワイン産地と類似した気候条件を持ち、多くの有名な産地が存在します。ナパ・バレー地域では、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールなどの品種が栽培され、高級ワインの産地として世界的に知られています。また、カリフォルニアを代表する品種であるジンファンデルは、同州のワイン生産量の約10%を占めています。赤ワインではナパ、白ワインではソノマが特に高い評価を得ていますが、その生産量はカリフォルニア全体の約12%と希少です。ロサンゼルスやサンディエゴ周辺の南部太平洋沿岸地域では温暖な気候を利用し、中級クラスのワインが主に生産されています。内陸部の広大なセントラル・ヴァレー地域は、温暖な気候であり、日常消費向けのテーブルワインが大量に生産されています。

カリフォルニア州のAVA（アメリカぶどう栽培地域）の例

北部海岸AVA: ナパ郡、ソノマ郡、メンドシーノ郡、レイク郡など、サンフランシスコ以北の太平洋岸地域
中部海岸AVA: モントレー郡、サンタクララ郡、サンルイスオビスポ郡、サンタバーバラ郡など、サンフランシスコ・ベイエリアからロサンゼルス盆地までの太平洋岸の地域
セントラル・ヴァレー: カリフォルニア州内陸部の広大な地域
シエラ山麓AVA: シエラネバダ山脈の西麓地域
南部海岸AVA: サンディエゴ近辺の地域

オレゴン州

オレゴン州のワイン産地は、ウィラメット・ヴァレーAVAを中心に発展しています。この地域は、オレゴン州のワイナリーの3分の2を占める最大のブドウ栽培地域であり、ピノ・ノワールの高品質なワインが特に有名です。

オレゴン州のAVAの例

ウィラメット・ヴァレーAVA: ダンディ・ヒルズAVA、マクミンヴィルAVA、ヤムヒル・カールトンAVAなどを含む、オレゴン州最大のブドウ栽培地域
アップルゲート・ヴァレーAVA
アンプクア・ヴァレーAVA
コロンビア・ヴァレーAVA

ワシントン州

ワシントン州のワイン産地は、フランスのボルドーやブルゴーニュとほぼ同じ緯度に位置しています。コロンビア・ヴァレーAVAは、ワシントン州最大のブドウ栽培地域であり、州全体の3分の1を占めています。

ワシントン州のAVAの例

コロンビア・ヴァレーAVA: ワシントン州最大のブドウ栽培地域
ヤキマ・ヴァレーAVA
レッド・マウンテンAVA
ワラ・ワラ・ヴァレーAVA

ニューヨーク州

ニューヨーク州は、カリフォルニア州に次いで全米第2位のワイン生産地です。ロングアイランドAVA、ハドソンリバーAVA、フィンガーレイクスAVAなどが主要な産地として知られています。

ニューヨーク州のAVAの例

ロングアイランドAVA: ロングアイランド島とその周辺の島
ハドソンリバーAVA: ニューヨーク市北部のハドソン川沿い
フィンガーレイクスAVA: オンタリオ湖の南岸

歴史

アメリカ合衆国におけるワイン造りの歴史は、16世紀のヨーロッパ人入植とともに始まりました。当初は、ラブルスカ種、リパリア種などのアメリカ原産のブドウを使用してワインが造られていましたが、ヨーロッパからヴィニフェラ種が導入されると、より高品質なワイン造りが行われるようになりました。カリフォルニアでは、1769年にフランシスコ会宣教師によってブドウ園とワイン醸造所が設けられ、その後、ジャン＝ルイ・ヴィーニュらによって良質なヴィニフェラ種が導入されました。

地理的表示（GI）

フランスのAOCのような厳格な原産地呼称制度は存在しませんが、アメリカぶどう栽培地域（AVA）という地理的表示が定められています。AVAは、特定の地域で栽培されたブドウを使用したワインであることを示すもので、ワインの品質や特性を保証する役割を果たしています。

主なワイン生産者とワイン評論家

アメリカには、アーネスト・ガロやロバート・モンダヴィなど、世界的に有名なワイン生産者が数多く存在します。また、ロバート・パーカーをはじめとする影響力のあるワイン評論家たちが、アメリカワインの評価を国際的に高めています。

アメリカ合衆国のワイン専門誌

The Wine Advocate
Wine Spectator
* Wine Enthusiast Magazine

アメリカ合衆国のワインは、その多様なテロワールと革新的なワイン造りによって、世界中で愛されています。

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