アメリカ国立電波天文台

アメリカ国立電波天文台 (NRAO)

アメリカ国立電波天文台（NRAO）は、電波天文学の研究と電波望遠鏡の開発・運用を専門とした研究機関です。この組織は、アメリカ政府の資金援助を受けながら、アメリカ合衆国科学財団のもとに設立され、高性能な電波望遠鏡を世界中の研究者たちに提供しています。

NRAOの主な施設

NRAOは、アメリカ国内外に多様な施設を持ち、特に以下の拠点が注目されています。

シャーロッツビル（バージニア州）

NRAOの本部は、バージニア州のバージニア大学キャンパス内に位置しています。この地域には、北米ALMA科学センターとNRAO技術センターもあり、電波天文学に関連する研究や技術開発が行われています。

ソコロ（ニューメキシコ州）

ソコロには、Array Operation Center（AOC）があり、ここではソコロから約80kmの地点にある「Very Large Array」（VLA）の運用が行われています。このVLAは、映画『コンタクト』の舞台にもなったことがあります。また、超長基線アレイ（VLBA）に関連する制御施設もあり、ハワイのマウナケア山やアメリカ本土に点在する望遠鏡の運用を担当しています。

ツーソン（アリゾナ州）

アリゾナ州ツーソンには、アリゾナ大学内に施設がありますが、NRAOはここでの12m電波望遠鏡の運用を終了し、その資金をALMAプロジェクトに振り向けました。現在、この望遠鏡はアリゾナ大学のスチュワード天文台によって運用されています。

サンチアゴ（チリ）

NRAOは国際的なプロジェクトであるアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計（ALMA）にも参加しています。ALMAはチリ北部の高地にあり、観測条件が非常に良好な地域に設置されています。

過去の施設

2016年には、グリーンバンク天文台と超長基線アレイがNRAOから独立し、現在はそれぞれの運営が行われています。これらの施設は、アメリカ国立科学財団との契約に基づいて、Associated Universities, Inc.によって管理されています。

グリーンバンク天文台

ウェストバージニア州には、世界最大の可動式電波望遠鏡があり、これはグリーンバンク望遠鏡と呼ばれています。この地域は特別な電波規制区域に指定され、13,000平方マイルに渡って電磁波の発信が制限されています。望遠鏡周辺では松の木が育てられており、これが電磁波の干渉を抑える役割を果たしています。しかし、完全に電波汚染を排除することは難しく、様々な電波源からの干渉が問題となっています。

関連情報

また、NRAOは電波天文学の進展を支えるために、ジャンスキー賞のような様々な活動も行っており、電波望遠鏡を用いた観測は現在も多くの科学的発見に貢献しています。これらの活動が、宇宙の理解を深める重要な役割を果たしています。

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