超長基線アレイ

超長基線アレイ (VLBA)

超長基線アレイ（Very Long Baseline Array, VLBA）は、アメリカ合衆国全土に配置された10台のパラボラアンテナから構成される先進的な電波望遠鏡です。この観測システムは、アメリカ国立電波天文台（NRAO）が運営しており、宇宙の様々な現象を詳細に探査するために使用されています。VLBAは、例えば、天体の形状や位置を高精度で測定するための超長基線電波干渉法（VLBI）技術を利用して、各アンテナからの信号を合成し、一つの巨大な望遠鏡として機能します。

建設は1986年に始まり、1993年に完成しました。その後、同年の5月29日から本格的な観測が始まり、以来、宇宙観測の重要な機関としての地位を確立しています。建設にかかる総投資額は8500万ドルに上りますが、その結果、得られる科学的成果はこれをはるかに上回るものとなっています。建設当初はNRAOが直接運営していましたが、2016年に長基線天文台が分離し、独立した運営体として活動を続けています。

VLBAを構成する各観測ステーションは、直径25メートルのパラボラアンテナを中心に、最先端のコンピュータやデータ記録装置などを備えています。アンテナの重量は218トンに達し、真上を向いたときの高さは約10階建てに相当します。このような基盤により、VLBAは極めて高い感度を持ち、その観測範囲はアメリカ全土及び周辺に及びます。

具体的に、10台のアンテナは以下の地域に設置されています：

• - ハワイ州 マウナケア山
• - ワシントン州 ブリュースター
• - カリフォルニア州 オーウェンズヴァレー
• - アリゾナ州 キットピーク
• - ニューメキシコ州 パイタウン
• - ニューメキシコ州 ロスアラモス
• - テキサス州 フォートデイビス
• - アイオワ州 ノース・リバティ
• - ニューハンプシャー州 ハンコック
• - アメリカ領ヴァージン諸島 セント・クロイ島

さらに、追加の観測地点として、プエルトリコのアレシボ天文台や西バージニア州のグリーンバンク望遠鏡などもVLBAと共同で観測を行うことがあり、この際には「High-Sensitivity Array」という名称で呼ばれます。この協力により、観測精度と範囲がさらに向上し、より詳細で高感度なデータ収集が可能となっています。

VLBAの技術的な特徴の一つに、その基線長の広さがあります。最も長い基線はなんと8611キロメートルにもおよび、これにより驚異的な角度分解能を実現しています。これにより、遠くの天体の詳細な形状や運動を捉えることができ、天文学の研究にとって非常に貴重な資源となっています。今後もVLBAは、宇宙の謎を解明する手助けをし続けることでしょう。

関連項目

• - [電波望遠鏡]]一覧
• - [VLBAの公式サイト

VLBAの活動は、宇宙に関する私たちの理解を深め、新しい発見へとつながる可能性を秘めているのです。

もう一度検索