グリーンバンク望遠鏡

ロバート・C・バード・グリーンバンク望遠鏡

ロバート・C・バード・グリーンバンク望遠鏡（Robert C. Byrd Green Bank Telescope, GBT）は、アメリカ合衆国ウェストバージニア州のグリーンバンク天文台が所有する、世界最大級の可動式電波望遠鏡です。この望遠鏡は、長年にわたりアメリカ合衆国の上院議員を務めたロバート・バード氏を記念して命名されました。

設置場所と環境

望遠鏡は、北緯38度25分58.23秒、西経79度50分21.99秒に位置しています。この場所は、国指定のナショナル・レディオ・クワイエット・ゾーン（電波規制地域）の中心にあり、望遠鏡の観測を妨げる電波干渉を極力排除するための厳しい規制が敷かれています。具体的には、望遠鏡を中心とした半径約16キロメートル以内では、携帯電話などの電波を発する機器の使用が厳しく制限されています。家庭用電子レンジやテレビのリモコンといった、日常的な家電製品の使用さえも規制対象となるほど、厳格な環境が保たれています。

望遠鏡の構造と特徴

グリーンバンク電波望遠鏡は、オフセット型のパラボラアンテナを採用しています。このアンテナの開口面は、縦100メートル、横110メートルにも及ぶ巨大なものです。この巨大な放物面は、実際には2004枚のアルミニウム製パネルで構成されています。各パネルは、アクチュエータによって微調整されており、常に正確な放物面を維持できるように工夫されています。パネルの表面誤差は、わずか0.003インチ（76.2マイクロメートル）RMS以下という驚異的な精度を誇ります。

また、この望遠鏡の反射面は、一般的な軸対称のパラボラアンテナとは異なり、オフセットパラボラアンテナという特殊な形状を採用しています。この構造により、受信装置やその支持構造物が電波の観測を妨げることがないため、よりクリアな電波信号を受信することができます。

運用体制

長らく、この望遠鏡の運用はアメリカ国立電波天文台（National Radio Astronomy Observatory, NRAO）が行っていましたが、2016年10月1日より、NRAOから独立したグリーンバンク天文台がその運用を引き継ぎました。

300フィート望遠鏡の崩壊と新たな望遠鏡の建設

現在、グリーンバンク望遠鏡が設置されている場所には、かつて300フィート望遠鏡（口径約91メートル）が存在していました。この300フィート望遠鏡は1962年に建設されましたが、1988年11月にアンテナ支持機構の一部が突然崩壊するという事故に見舞われ、その役割を終えました。この事故で失われた大口径電波望遠鏡を再び手に入れるために、新たに建設されたのが、現在のロバート・C・バード・グリーンバンク望遠鏡です。

その他の情報

グリーンバンク望遠鏡は、天文学の研究において非常に重要な役割を担っています。様々な天体現象の観測に利用されており、その研究成果は天文学の発展に大きく貢献しています。また、SETI（地球外知的生命体探査）プロジェクトである「ブレイクスルー・リッスン」にも利用されています。

関連情報

アメリカ国立電波天文台
野辺山電波天文台（日本最大の45m電波望遠鏡がある）
List of radio telescopes
パラボラアンテナ
電波天文学
ブレイクスルー・リッスン
* Green Bank Observatory（英語版）

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