アメリカ欧州・アフリカ陸軍

アメリカ欧州・アフリカ陸軍（USAREUR-AF）

アメリカ欧州・アフリカ陸軍（United States Army Europe and Africa, 略称 USAREUR-AF）は、アメリカ陸軍がヨーロッパおよびアフリカ地域において展開する部隊で、アメリカ欧州軍（EUCOM）及びアメリカアフリカ軍（AFRICOM）の指揮下にあります。

この部隊の起源は、1943年から1945年にかけての第二次世界大戦のヨーロッパ戦域にさかのぼり、当時のアメリカヨーロッパ作戦戦域陸軍（ETOUSA）として知られていました。1945年に戦争が終結した際、ETOUSAはフランクフルトに移転し、アメリカ軍ヨーロッパ戦域（HQ USFET）と改称されました。そして、1947年にはアメリカ欧州陸軍（USAREUR）に再編成されました。冷戦時代には、NATOの一部として東部におけるワルシャワ条約機構に対抗し、陸上部隊の編成と運用を行っていました。

冷戦の終結後も、USAREURは湾岸戦争、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、イラク戦争など数々の国際的な任務に対応してきました。2003年のイラク戦争では、彼らの役割は年々重要性を増し、多様な任務に関与しました。特に、イラク戦争後の再編成では、主要な部隊が欧州から撤収し、その後の軍事戦略の見直しに伴い構成が変更されました。

2020年には、アメリカアフリカ陸軍とアメリカ欧州陸軍が統合され、現行のアメリカ欧州・アフリカ陸軍（USAREUR-AF）が設立されました。この結果、2つの側面からの軍事展開が進められ、さらなる国際的な安全保障の強化が図られました。

編成と任務

USAREUR-AFは、ヨーロッパ・アフリカの両地域での作戦を幅広く実施するために指揮系統や部隊の編成を改編しています。組織は多岐にわたり、包括的かつ専門的な支援を提供するために設計されています。ここで、主要な構成要素としては次のような部隊があります：

• - 第5軍団：戦術的な指揮を担う部隊です。
• - 第173空挺旅団：空からの迅速な展開が特長の部隊。
• - 南ヨーロッパ任務部隊-アフリカ（SETAF-AF）：アフリカ地域での任務に従事する部隊。

さらに、各種工兵、火力、輸送、通信、支援部隊が編成され、複雑な作戦環境にも対応可能な柔軟性を持っています。特に、最近ではロシアのウクライナ侵攻に対抗するための新たな施策が強調され、ヨーロッパにおけるアメリカ軍のプレゼンスが強化されています。

近年の展開

2022年のウクライナ情勢に伴い、第5軍団の展開が進められ、ポーランドのポズナンにおいて前方司令部が設置されました。これにより、ロシアの挑発に対する抑止力を高めるとともに、地域の安定を確保するための活動が展開されています。前線部隊との連携を強化し、共同演習を通じて部隊の実効性を高めることが目指されています。

まとめ

USAREUR-AFは、アメリカ軍の中で重要な役割を果たしており、国際情勢の変化に敏感に対応しつつ、地域の安全保障と安定に寄与しています。今後も、発展し続ける軍事環境の中で、その任務と機能は進化していくことでしょう。

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