アメリカ海軍のコンピュータ

アメリカ海軍のコンピュータ技術の進化

本稿では、アメリカ海軍におけるコンピュータの歴史とその進化について詳しく解説します。特に艦載システムやミニコンピュータの開発、そしてワークステーションの導入について焦点をあて、その影響と意義を探ります。

メインフレームの導入

アメリカ海軍におけるデジタルコンピュータの艦載使用は、1960年代初頭に始まりました。その基礎を築いたのは、海軍戦術情報システム（NTDS）であり、1961年にはCP-642コンピュータが洋上試験に供されました。1963年3月には、艦隊への配備が承認され、このシステムの運用が開始されました。

その後、CP-642の改良版であるCP-642Bが登場し、1969年にはAN/UYK-7、また1983年にはAN/UYK-43という新たなコンピュータが投入されました。しかし、AN/UYK-43は海軍が制式に採用した最後のメインフレーム型コンピュータとしてその歴史に幕を閉じ、1990年代中頃からはAN/UYQ-70ワークステーションの導入に伴い、商用オフザシェルフ（COTS）化が進みました。この流れは、分散コンピューティング化としても知られ、システムの効率性や柔軟性を高めました。

特にイージスシステムにおいては、AYK-43の完全廃止後、共通化された設計のサーバ用ホストマシンであるMCE（Mission Critical Enclosures）が導入され、さらにCPS（Common Processing System）の導入により、新しい時代の幕開けを迎えました。

ミニコンピュータの開発

メインフレームの導入に並行して、扱いやすさを重視したミニコンピュータの開発も進められました。AADC（All Applications Digital Computer）計画がその一環として実施され、艦上用にはAN/UYK-20|AN_UYK-20が1974年から配備され、量産が開始されました。さらに、この計画はAN/AYK-14|AN_AYK-14という形で具現化し、1976年から納入が始まりました。その後、1983年にはAN/UYK-20|AN_UYK-20の後継機としてAN/UYK-44が導入され、海軍の運用に寄与しました。

また、射撃計算機として使用されるミニコンピュータには独自の制式番号が与えられ、Mkシリーズとして知られる機器が開発されました。これにより、射撃指揮装置やミサイル指揮装置においても高い精度と信頼性が求められ、世界標準に近い性能を備えたコンピュータが整備されました。

ワークステーションの普及

AN/UYQ-70ワークステーションの導入は、アメリカ海軍の情報処理能力を大きく向上させました。従来の集中型の情報処理から、各端末に情報処理能力を持たせる分散型システムへの移行が進み、効率的な運用が可能となりました。これにより、オペレーターは単なる情報表示だけでなく、リアルタイムでデータ処理が行えるようになりました。

民生品の導入

1970年代には、民間製品の活用も促進され、ヒューレット・パッカード社製のプログラム電卓を使った計画立案が行われました。これが後に高性能なHP 9020コンピュータに統合され、1984年にはDTC-1として制式採用されました。さらに発展してJOTS IIが登場し、その後もTAC-3、TAC-4といった民生品ベースのワークステーションが導入され、コンピュータ技術の進化に寄与しました。

このように、アメリカ海軍のコンピュータ技術は、艦載システムからミニコンピュータ、ワークステーション、さらには民生品の導入まで、多岐にわたって進化を続けてきました。その結果、海軍はより効率的かつ効果的な作戦を展開するための重要な基盤を構築しています。

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