アメリカ海軍のC4Iシステム

アメリカ海軍のC4Iシステム

アメリカ海軍におけるC4Iシステムは、作戦指揮（OPS）系統と情報活動（INTEL）系統の2つで構成されています。このシステムは、ネットワーク中心の戦い（NCW）という概念を基に構築されており、システム間の効果的な連携が指揮官の意思決定を支える鍵となっています。現行のC4Iシステムの背後には、1990年に提唱されたコペルニクスC4Iコンセプトがあり、これが全体の基本体系を形成しています。

C4Iシステムの構造

このコペルニクスC4Iコンセプトの下では、作戦部隊指揮官を中心に、作戦指揮系と情報系の情報を集約する構造が設けられました。これにより、以前のばらばらなC4Iシステムが、2つの明確な系統に再編成されました。以下に、各系統について詳しく見ていきます。

作戦指揮系統（OPS）

作戦指揮系統は、戦闘群司令部の指揮所（TFCC）や艦の戦闘指揮所（CDCまたはCICなど）で運用されます。このシステムは、部隊指揮官間で共通作戦状況図（COP）や共通戦術状況図（CTP）を作成し、把握するための重要な役割を果たします。

COPとCTP

共通作戦状況図（COP）は、戦闘空間における地形、気象、海象、さらには敵味方の位置、兵力、状況を示す情報を集約したものです。大熊康之によれば、COPの重要性はC4Iシステム全体の中でも特に高いとされており、作戦の成功に不可欠です。一方、共通戦術状況図（CTP）は、リアルタイムでの艦隊の戦術状況を表示するものです。

情報活動系統（INTEL）

情報系統は、主に統合インテリジェンス・センター（JIC）、補充インテリジェンス表示区画（SUPPLOT）、艦情報解析区画（SSES）などの区画で運用されます。

情報報告の統合

情報系統の主な任務は、敵の可能行動を予測することです。これには、様々なソースからの情報を統合し、整備されたインテリジェンスを各級部隊指揮官に提供する役割が含まれています。OPS系のC4Iシステムは、共同作戦を行う信頼できる同盟国に対して開放されることが多いのに対し、INTEL系は他国軍への情報開放はほとんどありません。

C4Iシステムの階層

作戦指揮系統は、武器管制、兵力統制、兵力調整の3つのレベルで構成されています。それぞれのレベルで生成される情報は、戦略的な意思決定をサポートします。

武器管制レベル

このレベルでは、単一統合航空状況図（SIAP）の生成を目的としたリアルタイムシステムが使用され、共同交戦能力（CEC）による双方向情報交換が行われます。

兵力統制レベル

ここでは、共通戦術状況図（CTP）の生成を目指し、統合データ・ネットワーク（JDN）上でニア・リアル・タイムの情報が処理されます。

兵力調整レベル

共通作戦状況図（COP）を生成するため，統合計画ネットワーク（JPN）上に構築されたシステムが用いられます。これにより、艦隊単位での戦闘行動が効率よく実施されます。

情報活動系統の詳細

情報活動系統には、整合された情報を通じて、敵の動向を把握するための仕組みが整っています。具体的には、インテリジェンスの収集、分析、配布が行われます。各系統の情報は、ニア・リアル・タイムで処理され、部隊指揮官に提供されます。

統合インテリジェンス・センター（JIC）

JICでは、アメリカ四軍が協力して情報を収集し、他の部隊指揮官が利用可能な形式に加工します。これにより、様々な高関心目標に関する情報がリアルタイムで提供されるのです。

補充インテリジェンス表示区画（SUPPLOT）

SUPPLOTは、各戦闘群におけるINTEL活動の中枢として、収集した情報を集約し、共通インテリジェンス状況図（CIP）として提供します。

まとめ

アメリカ海軍のC4Iシステムは、作戦指揮と情報活動が相互に連携することで、海戦における意思決定の効率と効果を高めています。このシステムの中核的な要素は、全軍の部隊による共通の作戦状況理解を提供することにあり、これにより、海軍は戦力の活用を最適化し、戦場での優位性を確保するのです。

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