アメリカ統合参謀本部副議長

アメリカ統合参謀本部副議長

アメリカ統合参謀本部副議長は、アメリカ軍の最高位ポストのひとつで、議長に次ぐ地位を占めています。この役職は1986年に施行されたゴールドウォーター＝ニコルズ法によって設立され、主に統合参謀本部議長のサポートや、議長不在時の会議の主宰を担うことが主な役割です。副議長は、各軍種のトップ（陸軍参謀総長海兵隊総司令官、海軍作戦部長、空軍参謀総長、宇宙軍作戦部長、沿岸警備隊総司令官、州兵総局長）より上位に位置していますが、直接的な作戦指揮権は持っていません。アメリカ軍の作戦における指揮権は、大統領を出発点として国防長官を介し、各統合軍の司令官に伝達されます。

副議長の責任

副議長の役割は、軍種を超えた軍事的な事案を監視し、国家安全保障会議における軍の代表としての機能を果たすこととされています。また、副議長は統合参謀本部議長の命を受けて、さまざまな職務を遂行します。これは非常に重要な任務であり、国家の安全保障を担う役割を含んでいます。他の統合参謀本部のメンバーと同様、副議長も戦闘部隊に対する具体的な指揮権を持たないため、その役割は徹底した補佐的なものとなります。

任命と就任資格

副議長に任命される際は、合衆国法典第10編第154条に則り、大統領の指名を受けた後、上院の「助言と承認」を経る必要があります。副議長に求められる資格は、現役の軍人である士官であり、その際には議長と同じ軍種からの任命は避ける必要があります。ただし、大統領の判断により、特別な事情がある場合は同軍種からの任命が許可されることもあります。また、副議長は在任中に大将（四つ星）の地位を保持することが求められ、現役の陸海空軍もしくは海兵隊の大将の中から任命されます。

このポストには4年の任期があり、戦時または国家非常事態の際以外での再任は認められません。副議長の任期は議長と同じであり、任文終了後は退役することが原則となります。これまでのところ、陸軍の軍人が副議長に就任した例はなく、過去の11名の副議長はすべて海軍や空軍の大将からの選任となっています。

歴史的背景

統合参謀本部副議長の役職は、1986年にゴールドウォーター＝ニコルズ法として設立され、以降、アメリカ合衆国の軍事戦略における重要な役割を果たしてきました。当初は正式なメンバーとはみなされず、1992年に成立した国防権限法によって、その地位が確立されました。さらに、2017年に改正された国防権限法によって、副議長の任期が再任不可能な4年制とされ、開始日が法的に規定されました。

副議長の旗

副議長の旗のデザインは特徴的で、左上から右下にかけて青のストライプが施されています。旗の中心には、羽が広がったハクトウワシが描かれ、その爪には3本の交差した矢をつかんでいます。ハクトウワシの胸には青い横線があり、さらに赤と白の縦線がデザインされた盾があります。旗の右上から左下には4つの青い五芒星が描かれ、これらのデザインは1987年1月20日にキャスパー・ワインバーガー国防長官により公式に承認されました。

このように、アメリカ統合参謀本部副議長はその歴史、責任、そして任命手続きにおいて、アメリカ軍の運営において不可欠な地位を占めています。

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