アモリア朝

アモリア朝（フリギア朝）とは

アモリア朝は、東ローマ帝国（ビザンツ帝国）において、820年から867年まで続いた王朝です。ミカエル2世によって創設され、彼の出身地域にちなんでフリギア朝とも呼ばれています。この短い期間の王朝は、帝国史において重要な転換期にあたり、特にイコノクラスム（聖像破壊運動）の激しい時代と重なっていたことで知られています。

ミカエル2世による王朝の創設

ミカエル2世は、もともと軍人として頭角を現しました。彼は、前王朝の皇帝であるレオーン5世の暗殺に関与した後、皇帝の座を奪取しました。彼が帝国を掌握した時、帝国は政治的にも宗教的にも不安定な状態にありました。ミカエル2世は、帝国の安定化を図るために様々な政策を実施しましたが、その治世は常に内外の敵との戦いに明け暮れていました。

イコノクラスムとの関連

アモリア朝の時代は、イコノクラスムが再び激化した時期でした。イコノクラスムとは、聖像崇拝を偶像崇拝とみなし、聖像の使用や崇拝を禁止しようとする運動です。この問題は、帝国社会を深く分断させ、政治的にも大きな影響を与えました。ミカエル2世自身はイコノクラスムを支持する立場を取りましたが、彼の子孫であるテオフィロスも同様にこの政策を継続し、帝国全体を巻き込む争いが続きました。

アモリア朝の終焉

アモリア朝は、ミカエル3世の時代に終焉を迎えます。ミカエル3世は、当初は叔父のバルダスによって政治を動かされていましたが、後にバルダスを殺害し、自ら政治の実権を握りました。しかし、彼の治世は、内部の対立や陰謀が絶えず、最終的にはバシレイオス1世によって殺害され、マケドニア朝へと王朝が交代することになりました。

アモリア朝の歴史的意義

アモリア朝は、短いながらも東ローマ帝国の歴史において重要な役割を果たしました。この時代は、イコノクラスムの激化や、政治的な混乱を経験しましたが、その後の帝国の発展に大きな影響を与えました。また、この王朝の成立と終焉は、東ローマ帝国の政治的構造や宗教的な動向を理解する上で不可欠な要素となっています。さらに、アモリア朝の時代は、帝国における軍事力が政治に大きく影響を与えることを明確に示しており、その後の帝国の歴史においても重要な教訓となりました。

参考文献

Leslie Brubaker, John F. Haldon: Byzantium in the Iconoclast era. c. 680–850. A History. Cambridge University Press, Cambridge u. a. 2011, ISBN 978-0-521-43093-7.
Ralph-Johannes Lilie: Byzanz – Das zweite Rom. Siedler, Berlin 2003, ISBN 3-88680-693-6.
Warren Treadgold: The Byzantine Revival, 780–842. Stanford University Press, Stanford 1988.

関連項目

イコノクラスム

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