アラスカの拳銃使い

『アラスカの拳銃使い』は、1945年4月14日に公開された、テックス・アヴェリー監督によるアメリカ合衆国の短編アニメーション映画です。制作はメトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）で、ロバート・W・サーヴィスによる小説『ユーコンの魔力』に収録されている「ダン・マッグルーの射殺」を原作としています。

この作品は、アラスカの無法地帯を舞台に、ドルーピーがガンマンとして活躍する痛快な西部劇コメディです。舞台となるアラスカの町では、ガンマンたちの銃撃戦が日常茶飯事で、人口は日々減少の一途を辿っています。そんな荒れ果てた町にある酒場に、凶暴なオオカミが現れ、狼藉を働き、歌手の美女にちょっかいを出します。そこに居合わせたドルーピーが、オオカミと決闘を繰り広げるというストーリーです。

アヴェリー監督は、1939年にはワーナー・ブラザースで同原作を基にしたアニメーション作品『Dangerous Dan McFoo』を制作しています。本作品『アラスカの拳銃使い』には、アヴェリー作品の特徴である独特のギャグセンスが随所に散りばめられています。例えば、倒れたドアが地下室の階段に変わるなど、後の作品にも見られるギャグが使用されています。

登場キャラクターは、ガンマンとして活躍するドルーピー、残酷で女好きで酒に弱いオオカミ、そして戦時中の世相を反映した慰問歌を歌う美女が中心です。美女の登場は、初期のドルーピー作品ではしばしば見られるもので、本作では第二次世界大戦下の状況が歌の歌詞に反映されています。ドルーピーは原作の「ダン・マッグー」という犬の名前を連想させるキャラクターとして描かれていますが、オオカミは以前の作品に登場した悪役と似たキャラクターです。

スタッフには、監督のテックス・アヴェリーを始め、製作のフレッド・クインビー（初公開版ではクレジット無し）、共同製作のウィリアム・ハンナ（クレジット無し）、キャラクターデザインのクロード・スミス（クレジット無し）、原画のレイ・エイブラムズ、プレストン・ブレア、エド・ラブ、レイアウト・背景のジョン・ディドレック・ジョンセン（クレジット無し）、脚本のヘック・アレン、音楽のスコット・ブラッドリーなどが参加しました。彩色プロセスにはテクニカラー、録音プロセスにはウェスタン・エレクトリックが使用されています。

本作は残酷なシーンを含むため、テレビ放送では扱いが難しく、長らく再放送などが難しい作品の一つとされてきました。しかし、タイム・ワーナー・エンターテイメント・ジャパンからDVD「ドルーピー 迷探偵ドルーピーの大追跡編」が発売され、収録作品の一つとして視聴できるようになりました。「トムとジェリー通常版DVDの3」や「トムとジェリー ドルーピーといっしょVHSの2」にも収録されています。

『アラスカの拳銃使い』は、アヴェリー監督の独特の作風と、原作小説の世界観が見事に融合した、西部劇コメディの魅力が詰まった作品です。ドルーピーの活躍と、戦時中の社会状況を反映した歌詞、そしてアヴェリー独特のギャグの数々は、今もなお多くのファンを魅了し続けています。また、オープニングでドルーピーの名前が表示されなかったという点も、興味深い作品の裏話と言えるでしょう。

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