アラバスター

アラバスター：その美しさから生まれた鉱物名

アラバスターは、その名の通り、美しい白色を呈する鉱物として知られています。この独特の白さは、古くから人々を魅了し、詩や歌といった文学作品の中でも、白く滑らかな肌を表現する際に「alabaster skin」といった言葉として用いられるなど、文化的な側面にも深く関わっています。

アラバスターの二つの種類

しかし、アラバスターと総称される鉱物には、実は大きく分けて二種類が存在します。それは、化学組成が異なる石膏（CaSO₄・2H₂O）と方解[[石]]（CaCO₃）です。現代においてアラバスターといえば、一般的に石膏の一種である雪花石膏を指します。一方、方解[[石]]からなるアラバスターは、古代において多く利用されていた種類で、現在では比較的稀少です。

これらの区別は、意外にも容易に行うことができます。もっとも簡単な方法は、硬度の違いを利用することです。石膏系のアラバスターはモース硬度が1.5～2と柔らかく、爪で簡単に傷をつけることができます（爪の硬度は約2.5）。一方、方解[[石]]系のアラバスターは硬度が3と高く、爪では傷つけることができません。

さらに、化学的な性質の違いを利用した判別法もあります。方解[[石]]は炭酸カルシウムを主成分とするため、塩酸などの酸に溶解しますが、石膏は酸に対して不活性です。これらの違いを用いることで、容易にアラバスターの種類を見分けることが可能です。

アラバスターの性質と特徴

アラバスターの美しい白色は、その緻密な結晶構造と、不純物の少なさによって生み出されています。このため、加工がしやすく、磨くと美しい光沢を放つことから、古くから彫刻や装飾品などに用いられてきました。特に、古代エジプトでは、神像や祭器などの製作に多く用いられ、その文化を象徴する素材として重要な役割を果たしました。

石膏系アラバスターは、比較的柔らかく加工しやすい反面、耐水性や耐久性に劣るという性質も持ち合わせています。そのため、屋外での使用には不向きですが、室内装飾など、湿度変化の少ない場所での利用には適しています。一方、方解[[石]]系アラバスターは、石膏系に比べて硬度が高いため、より耐久性に優れていますが、加工は難しくなります。

アラバスターの歴史と利用

アラバスターの歴史は古く、古代文明においても広く利用されてきました。前述の通り、古代エジプトでは神像や祭器の材料として重宝され、多くの遺物が現存しています。また、古代ギリシャやローマでも、彫刻や装飾品などに用いられていました。

中世以降も、教会の装飾品や彫刻など、宗教的な文脈で広く利用され続けました。その美しい白さと加工の容易さから、宗教美術において重要な役割を果たしたと言えるでしょう。現代においても、その独特の美しさから、装飾品や工芸品などとして高い人気を誇っています。

まとめ

アラバスターは、その美しい白色と加工の容易さから、古くから様々な用途で利用されてきた重要な鉱物です。石膏と方解[[石]]の二種類が存在し、硬度や酸に対する反応で容易に判別できます。今後も、その独特の美しさから、様々な分野で活用されていくことが期待されます。

もう一度検索