アラブ級駆逐艦

アラブ級駆逐艦

アラブ級駆逐艦は、第一次世界大戦中にフランス海軍が運用した駆逐艦の艦級です。特徴として、日本で建造された艦であり、大日本帝国海軍の樺型駆逐艦の同型艦を購入した物です。そのため、アルジェリアン級、あるいはトライバル級（民族級）とも呼ばれます。

概要

第一次世界大戦への参戦により、外洋での作戦活動が可能な駆逐艦が不足したフランス海軍は、直接的な戦場とならず、建造能力に余裕のあった日本に駆逐艦12隻を発注しました。1916年（大正5年）に建造命令が出され、1917年（大正6年）3月29日に受託建造協定が締結されました。

本級の設計・建造は全て日本側に一任され、一旦日本海軍の艦として建造された後、日本側の要員によってポートサイドまで回航され、フランス海軍に引き渡されました。基本的な設計は樺型と同様ですが、武装などが異なり、樺型が計画重量を超過したことを受けて、カタログスペック上の排水量が増加しています（実際には同一）。

第二次世界大戦末期の1944年、自由フランス海軍はアメリカ海軍のキャノン級護衛駆逐艦を譲り受け、2代目のアルジェリアン級駆逐艦としています。この際、アルジェリアン、オーヴァ、マロケン、セネガレ、ソマリは艦名を受け継がれましたが、もう一隻はチュニジアンと命名されました。

同型艦

艦名はいずれも当時のフランス植民地帝国内の民族・住民の名が由来となっています。

アルジェリアン（Algérien）：横須賀海軍工廠で建造。名の由来はアルジェリアに住む人々。
アンナミト（Annamite）：横須賀海軍工廠で建造。名の由来はフランス領インドシナに住む人々。
アラブ（Arabe）：呉海軍造船所で建造。名の由来はアラビア語を話し、イスラム教を信仰する人々。
バンバラ（Bambara）：呉海軍造船所で建造。名の由来はバンバラ語を話す人々。
オーヴァ（Hova）：佐世保海軍造船所で建造。名の由来はマダガスカルの庶民階級の人々。
カビル（Kabyle）：佐世保海軍造船所で建造。名の由来はアルジェリア北岸のカビリー地方に住むカビル人。
マロケン（Marocain）：舞鶴海軍造船所で建造。名の由来はモロッコに住む人々。
サカラバ（Sakalave）：舞鶴海軍造船所で建造。名の由来はマダガスカルに住むサカラヴァ人。
セネガレ（Sénégalais）：神戸川崎造船所で建造。名の由来はセネガルに住む人々。
ソマリ（Somali）：神戸川崎造船所で建造。名の由来は「アフリカの角」に広く分布するソマリ族。
トンキノワ（Tonkinois）：三菱重工業長崎造船所で建造。名の由来はトンキン地方に住むアンナン人。
トゥアレグ（Touareg）：三菱重工業長崎造船所で建造。名の由来はサハラ砂漠中央部に住むトゥアレグ人。

これらの艦は第一次世界大戦においてフランス海軍を支え、戦後は植民地での活動にも従事しました。

脚注

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