アラン・ロンバール

アラン・ロンバール（Alain Lombard）は、1940年10月4日にパリで生まれた、フランスを代表する指揮者です。器楽曲の分野でも活動していますが、その名声は主にオペラ指揮者としての功績によって確立されました。

指揮者としてのキャリアは、1961年にリヨン国立管弦楽団を指揮してスタートしました。その後、活動の場をアメリカ合衆国に移し、ニューヨークにおいて世界的巨匠レナード・バーンスタインのアシスタントを務めました。この経験は、彼のその後の音楽活動に大きな影響を与えたと考えられます。

1971年、ロンバールはストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任し、1983年までその職を務めました。このストラスブール時代は彼のキャリアにおいて重要な期間であり、フランス国内外の主要な音楽レーベルであるEMIやエラートに多数の録音を残しています。また、この時期の1972年には、彼自身の主導により、アルザス＝ロレーヌ地方出身の演奏家たちを集めた混成アンサンブルを組織し、新たにラン国立オペラを旗揚げしました。これは、ストラスブール、コルマール、ミュールーズといった地域のオペラ活動を統合・活性化する画期的な取り組みであり、ロンバールの組織運営能力と地域文化への貢献を示す出来事でした。

1988年には、ボルドー・アキテーヌ国立管弦楽団の指揮者に転じ、1995年までその任にあたりました。さらに1990年からは、ボルドー歌劇場の指揮者も兼任し、オペラ活動におけるリーダーシップを一層強化しました。ボルドーでの地位は、当時ボルドー市長であったアラン・ジュペがフランスの首相に選出されたことで、政治的な後押しも得てより一層強固なものとなりました。

ボルドーでの活動を終えた後、1999年からはスイス・イタリアーナ管弦楽団の首席指揮者に就任し、2005年まで務めました。その後は同楽団の名誉指揮者として、引き続き関わりを持っています。

アラン・ロンバールが録音した主要な作品には、オペラ分野ではモーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」や「魔笛」、グノーの「ファウスト」と「ロメオとジュリエット」、ビゼーの「カルメン」、ドリーブの「ラクメ」、プッチーニの「トゥーランドット」などがあり、器楽曲ではシューベルトの交響曲全集やベルリオーズの「幻想交響曲」などが挙げられます。これらの録音は、彼の幅広いレパートリーと解釈の一端を示しています。

もう一度検索