アリイン

アリインとは

アリイン（Alliin）は、新鮮なニンニクに天然に含まれるスルホキシドの一種で、システインの誘導体です。ニンニクを切ったり、すりおろしたりすると、アリナーゼという酵素の働きによってアリシンに変換されます。このアリシンが、ニンニク特有の刺激臭の原因となる成分です。

アリインの特性

アリインは、強力な抗酸化物質として知られています。古くから、アリインを含むニンニクは、酸素中毒の治療にも用いられてきました。また、試験管内での研究では、アリインを血液細胞に添加すると、白血球の貪食能力が高まることが観察されています。

アリインの異性体

アリインの分子構造には、2つの不斉中心が存在します。一つは2位の炭素原子、もう一つは硫黄原子です。そのため、理論上は4つの異性体が存在することになります。

天然には、(+)-L-アリインと(−)-L-アリインの2つの異性体が存在します。これらは、互いにジアステレオマーの関係にあります。残りの2つの異性体は、(−)-D-アリインと(+)-D-アリインで、これらも互いにジアステレオマーの関係にあります。さらに、(+)-L-アリインと(−)-D-アリイン、(−)-L-アリインと(+)-D-アリインは、それぞれ鏡像異性の関係にあります。

健康への寄与

アリインは、ニンニクの健康効果を担う重要な成分の一つと考えられています。抗酸化作用に加え、免疫細胞の活性化を促す効果も期待されており、様々な健康効果が研究されています。

用語解説

スルホキシド: 硫黄原子に酸素原子が結合した有機化合物の一種。
システイン: アミノ酸の一種で、タンパク質を構成する。
アリナーゼ: アリインをアリシンに変換する酵素。
アリシン: ニンニクの刺激臭の元となる有機硫黄化合物。
抗酸化物質: 体内の酸化反応を抑制する物質。
貪食: 細胞が細胞外の物質を取り込む現象。
不斉中心: 分子内で4つの異なる原子団が結合している原子。
異性体: 分子式は同じだが構造が異なる化合物。
ジアステレオマー: 鏡像関係にない立体異性体。
鏡像異性体: 互いに鏡像の関係にある立体異性体。

関連項目

S-アリルシステイン
アリシン
* ニンニク

もう一度検索