アリエル (オートバイ)

アリエル (Ariel)

アリエルはかつてイギリスで存在したオートバイのメーカーであり、バーミンガム郊外のボーンブルックに本社を置いていました。このブランドは、自転車からエンジン付きの三輪車、そしてオートバイまで多岐にわたる製品を手掛けていました。

歴史の始まり

アリエルの名前は、1847年に空気入りタイヤ付きの初期型車輪を作ったことに由来します。当時、事業は成功しませんでしたが、1870年にはジェームズ・スターレーとウィリアム・ヒルマンによってリムをスポークで結合した軽量な自転車が生まれ、彼らはこの自転車に「アリエル」と名付けました。この名称は、シェイクスピアの作品に登場する空気の精霊から取られています。

1885年、スターレーの甥であるジョン・ケンプ・スターレーが安全型自転車を発明し、ペニー・ファージング型自転車が過去のものになりましたが、アリエルはその後の発展に一時的に取り残されました。しかし、1896年にはウェストウッド・マニュファクチュアリング社との合併を経て、エンジンを搭載した三輪車の製造を開始しました。これがアリエルにとって初のエンジン付き乗り物となります。

モーターサイクルの誕生

1902年、アリエルはチャールズ・サングスターにより買収され、オートバイや4輪車の生産を始めます。第一次世界大戦の影響で製造が一時停止するものの、1918年に製造を再開し、ホワイト＆ポップのエンジンによって成功を収めました。その後、アリエルは1926年に4輪車の製造から退き、オートバイ専業となりました。

1930年代初頭には会社の業績が悪化し、1932年に破産しますが、ジャック・サングスターが会社を買収し、新たにアリエル・モータースを設立しました。新たな工場では、彼が携わった名車が次々と誕生し、特に第二次世界大戦中には軍用オートバイの生産も行いました。

1950年代半ばから、オートバイ産業が不況に見舞われる中、アリエルもラインナップを縮小しつつも、技術革新を続けました。しかし、1967年にオートバイ製造を完全に中止し、その後も数社によって名前が引き継がれることとなります。

主なオートバイモデル

• - スクエア・フォア: 4気筒995ccのエンジンを搭載。アリエルの象徴的なモデル。
• - レッドハンター: OHV単気筒500ccエンジンのスポーツモデル。競技にも適していました。
• - リーダー: 250ccの2ストロークエンジンを搭載したモデルで、オートバイとスクーターの特性を併せ持っています。
• - ハントマスター: 650ccのBSA製エンジンを搭載し、高速性能を誇るモデルです。

4輪車の生産

アリエルは一時的に4輪車の生産にも取り組んでいました。1900年から1915年、そして1922年から1925年の間に数種類の車両を市場に送り出しました。その初期のモデルとしては、10馬力の2気筒エンジンを積んだものがありました。特に1907年には50馬力の6気筒エンジンを搭載した大型車を販売していましたが、第一次世界大戦の影響で生産が中止されるなど波瀾万丈の歴史を辿りました。

最後に

アリエルは、その革新的な技術とデザインにより、長い歴史を持つブランドとして多くのオートバイファンに愛されてきました。現在では直接的な継承はありませんが、アリエルの名は新たな企業によって復活しています。かつての栄光を思い起こさせるこのブランドの歴史は、今なお多くの人の心に残っています。

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